3 アフィリエイトとリコメンデーション  インターネット広告の大きな特徴であるパーソナル指向を実現する手法の中に、アフィリエイト・プログラムとリコメンデーション機能がある。アフィリエイト・プログラムとは、ウェブサイトやメールマガジンに広告主のサイトへのリンクを張り、利用者がそのリンクを経由して商品を購入等した場合に、媒体主に商品の売上げ等の中から報酬が支払われる仕組みである。従来の広告では、主な広告媒体は多くの視聴者や読者を集めるマスメディアであった。インターネットでも、初期のバナー広告等の媒体主は、多くの利用者を集めるポータルサイト等が中心であったが、アフィリエイトでは広告主がターゲットを絞った広告を出すことができるため、テーマが明確な個人のブログ等が媒体として使われることが多い。また、広告費も成果報酬が中心でマスメディア広告に比べれば安価であるため、個人が運営しているネットショップ等でも広告主になることができる。形態としてはネット書店等のネットショップやネットモールが自ら独自に提供しているもののほかに、広告主と媒体主の間に代理店が介在するタイプもあり、その市場規模も2005年度には300億円を超える見込みである(図表1-7-7)。  一方、リコメンデーション機能とは消費者に個別に「おすすめ商品」に関する情報を提供するものであり、アフィリエイトと同じようにパーソナル指向を支える代表的な手法である。個々の消費者に対して商品を推薦するためにはその消費者のニーズを把握する必要があるが、インターネットでは消費者のウェブサイト訪問記録をある程度把握でき、ネットショップは顧客のアクセスログや購買履歴を把握することができる。物理的な店舗では収集するのが困難なそのようなデータを分析することによって、ネットショップなどは顧客のニーズを明らかにすることができる。特定の消費者と同じようなニーズを持つ他の消費者の購買行動から、その消費者が好んで購入しそうな商品を予想することもできる。  アフィリエイトやリコメンデーションは、情報仲介に関するコスト削減とマッチング精度向上、データベースに蓄積されるデータに基づいた付加価値提供というインターネットの特性を効果的に活用した手法であるといえる。 図表1-7-7 アフィリエイトサービス市場規模