3 一般消費者向けの電子商取引の事例  利用者との取引のネットワーク化が進むことにより期待される効果としては、製品のカスタマイズ機能やラインナップの充実、商品情報の伝達力の向上、製品価格の低下、利用者の購買機会の拡大などがある。 ・カスタマイズ機能の充実−パソコンにおけるオーダーメイド型販売(図表1-8-5)  消費者がパソコンを購入する場合、従来はメーカー側が策定した仕様・製品スペックによる数パターンのモデルから選択していた。しかし、ネットワーク化に伴い、消費者は、メーカー等のホームページ上で提供される様々なパーツから予算や使用目的に合わせてカスタマイズされた商品を購入することが容易になった。オーダーメイド型販売は、現在各社で採用されており、パソコン購入時の予算や目的に合わせて、CPUやメモリー、きょう体の色等を自由に組み合せて購入することで、消費者の多様なニーズにこたえている。 図表1-8-5 パソコンにおけるカスタマイズの例 ・製品ラインナップの充実−書籍販売(図表1-8-6)  書籍等の品揃えの豊富さが要求されるケースでは、複数の店舗や一般の消費者の保有する商品をネットワークで結ぶことで、圧倒的な品揃えを実現させている例がある。  例えば、Amazon.co.jpにおいては、利用者自身が所有している書籍や音楽CD等をアマゾンのサイト上で販売できる「AmazonマーケットプレイスTM」サービスを提供している。本サービスでは、AmazonマーケットプレイスTM上の第三者からの出品により、自社のみで揃えることのできない商品に対する補完効果を生み出すことに成功しており、消費者は、いつサイトを訪れても、どんな商品でも揃っているという満足感を得ることができる。 図表1-8-6 AmazonマーケットプレイスTMの出品例 ・商品情報の伝達力の充実−地域特産品等の販売(図表1-8-7)  食品分野では、地域特産品等について十分な商品情報を提供することは、実店舗による直接対面以外の手段では困難であった。しかし、ネットワーク化に伴い、ホームページ等に充実した商品情報を提供することで、商品に関する詳細情報の伝達能力が向上している。  例えば、地域特産品や無農薬野菜等を取り扱うネットショップでは、生産者の声や素材へのこだわりに関する情報をサイトや自社が発行しているメールマガジン等に掲載することで、店頭では伝えきれないような商品情報を伝達している。 図表1-8-7 Oisix(オイシックス)における商品情報の提供例 ・製品価格の低下−宿泊予約サイト  宿泊予約サイト事業者は、予約窓口をネットに特化しコストを抑えることで、宿泊施設から徴収する利用料率を店頭窓口等で設定しているものよりも低く設定している。また、多くの宿泊施設と契約を締結することで、品揃え(宿泊施設数、空室数)の確保が可能となり、消費者の多様なニーズにこたえることが可能となっている。 図表1-8-8 楽天トラベルにおける宿泊の予約例 ・購買機会の拡大−イベントチケット販売  イベントチケット販売では、従来、チケット発送等の物理的な手続が必要とされるため実現できなかった当日券市場が開拓されている。パソコンや携帯電話でイベントチケットを購入しコンビニエンスストア等でチケットを発券するなど、ネットワークを活用することによって情報の取得とチケットへの変換を容易にし、公演日が近づいたチケットや当日券等の販売機会の新たな取り込みと、消費者の購買機会の拡大を実現している。 図表1-8-9 ぴあにおけるチケットの引き取り例 3 NECダイレクトホームページ(http://www.necdirect.jp) 4 Amazon.co.jpホームページ(http://www.amazon.co.jp) 5 Oisixホームページ(http://www.oisix.com) 6 楽天トラベルホームページ(http://travel.rakuten.co.jp) 7 ぴあホームページ(http://pia.jp/t)