3 雇用者の情報通信リテラシー  企業のICT化が進むに従い、雇用者に対する情報通信リテラシーの要求水準も高まってきている。現在、雇用者の88.8%が業務でパソコンを利用しており、64.2%が業務で携帯電話又はPHSを利用していると回答している(図表1-11-9)。また、業務においてインターネットを利用している雇用者は68.9%、業務におけるパソコンの利用時間は平均5.0時間、業務時間に占めるパソコンの利用時間の割合は平均で58.2%となっている17(図表1-11-10、1-11-11)。  また、雇用者の情報処理能力も向上している。雇用者のパソコン利用経験年数は平均10.5年となっており、ワープロやプレゼンテーションソフト、表計算ソフト、メールソフト、インターネットといった汎用ソフトウェアの利用については、ほとんどが利用可能と回答している(図表1-11-12)。また、情報通信技術の利用経験年数と所得の間に正の相関関係が存在することが示されており18、情報通信リテラシーが高まるほど、賃金所得が高くなる可能性があることが示唆される。 図表1-11-9 業務における携帯電話・PHS、パソコンの利用状況 図表1-11-10 業務におけるインターネットの必要性 図表1-11-11 業務におけるパソコンの利用時間 図表1-11-12 利用可能なICTスキル 17 総務省「勤労者のICT利用状況調査」による 18 情報通信リテラシーは、単なるパソコンなど情報通信機器や技術に対する知識や能力を意味するだけでなく、先行研究で指摘されるように、「ICTを使いこなす人的能力」を含むものである。このため、すなわち情報通信リテラシーの高さが労働者の質や能力の高さと相関があるため、これら人的能力に対する需要が賃金に反映していると解釈する必要がある