第12節 企業ネットワークの深化 1 企業のICT化の現状  企業の情報関連費用の総額は、実質ベースで増大している。中でもソフトウェアへの支出が大きく伸びており、1企業当たりのソフトウェア資産は、ハードウェア資産に対して4倍強となっている1。  2003年度において、情報システムの構築を行っている企業のうち37.4%の企業は「新たなシステムの構築若しくは世代交代に取り組んで」いる。また、情報システムの適用範囲は社内のみが73.0%、関連会社や取引先といった社外を含めているものが27.0%となっており、調達や物流といった社外と情報共有を行うことで効率化が進む業務領域を中心として社外システム構築の割合が高くなっている2。  企業の情報化投資の目的及び効果を見ると、企業の業務効率化・迅速化が特に多くなっており(図表1-12-1、1-12-2)、ナレッジマネジメント、サプライチェーンマネジメント3、プロダクトライフサイクルマネジメント4など、企業組織内部のマネジメントやガバナンスの効率化への貢献が期待されていることが分かる。 図表1-12-1 情報化投資の目的 図表1-12-2 情報化投資の効果 1 経済産業省「平成16年情報処理実態調査」。ただし、ハードウェアについてはリース・レンタルが増加しており、実際の機器の配備状況という点では過小な評価となっている可能性がある 2 経済産業省「平成16年情報処理実態調査」 3 サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)は、一連の企業内の流通状況を効率的にコントロールし、これを効率化することを目的として、リードタイムの短縮や棚卸資産の圧縮等へ、情報通信技術の活用する方法。1998年から実際に導入事例も出てきている。(財)日本情報処理開発協会電子商取引推進センター(2004) 4 プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM)とは、製品開発過程を包括的に管理する手法、最近では、電子タグを活用することで、製造からリサイクルまでの製品のライフサイクルを管理して物流を効率化といった実験等も行われている