第3章 情報通信政策の動向 第1節 高度情報通信ネットワーク社会の実現 1 国家戦略の推進 〜ユビキタスネット社会の実現に向けた新たな戦略の始まり〜  政府は、平成13年1月に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)を設置し、「我が国が5年以内に世界最先端のIT国家になること」を目指した「e-Japan戦略」を策定した。「e-Japan戦略」等の5年間に、ブロードバンドインフラの整備と利用の広がり、高機能の携帯電話の普及、電子商取引の環境整備等について我が国は世界最先端を達成した。また、我が国はICT利用者のレベルにおいても世界最高水準となり、最先端のインフラやマーケット、技術環境を有する「世界最先端のIT国家」となった。  その一方で、行政サービスや、医療、教育分野等でのICT利活用における国民満足度の向上、地域や世代間等における情報活用における格差の是正、セキュリティ対策や防災・災害対策の促進、企業経営におけるICTの活用や産業の国際競争力の強化、国際貢献等について、依然として課題が存在している。  今後は、利用者視点に立った上で、ICTをその特性を生かしながら有効に使い、国民生活及び産業競争力の向上に努めるとともに、日本社会の抱える大きな社会的課題の改革に取り組むべきである。そのためには、第一の目的として、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」簡単に使えるユビキタスネット社会をセキュリティ確保やプライバシー保護等に十分留意しつつ実現することが求められる。それによって我が国が世界最高のインフラ・利用能力・技術環境を有する最先端のICT国家であり続け、さらに、我が国で達成された成果を世界に向けて発信していくべきである。このような目的を達成してこそ、国民の視点に立ったICT利用が可能になり、それによって国民生活の向上と産業競争力の向上が達成される。  我が国においてこれらの目的を達成し、そして世界のICT革命を先導するフロントランナーとして、アジアを中心とする共存共栄の国際社会づくりに貢献していくため、総務省において「u-Japan政策」が推進されているほか、政府全体の国家戦略として、IT戦略本部は、平成18年1月に「IT新改革戦略」を策定した。 図表3-1-1 国家戦略の歩み 図表3-1-2 新戦略の重点政策