2 u-Japan政策 1 u-Japan政策について  総務省では、ユビキタスネット社会の実現に向けた方策や課題等を検討するため、平成16年3月から12月まで「ユビキタスネット社会の実現に向けた政策懇談会」を開催し、「u-Japan政策」を策定した。  このu-Japan政策においては「2010年には世界最先端のICT国家として世界を先導する」ことを目標として、以下の三つの基本軸からなる政策パッケージを推進していく。  第一は「ユビキタスネットワークの整備」である。これまでのインフラ整備は、ナローバンドからDSL、ケーブルインターネット、光ファイバ等のブロードバンドへの発展という有線を中心としたものであったが、u-Japan政策では有線・無線を意識することなく扱うことができるシームレスなユビキタスネットワーク環境を整備するとともに、引き続き、都市と地方間で生じているデジタル・ディバイドを解消するため、ブロードバンド基盤の全国的整備を推進する。  第二は「ICT利活用の高度化」である。これまでのICT利活用は情報化に先鞭をつけ、また情報化の遅れている分野を後押しするとの側面が強かったが、u-Japan政策では、ICTを利活用することにより、少子高齢化をはじめとする様々な社会の課題を解決することに主眼を置き、2010年までに国民の80%が「ICTは課題解決に役立つ」と評価する社会とすることを目標としている。  第三は「ICT利用環境の整備」である。ICTが生活の隅々にまで普及浸透することによって、サイバー社会で起こりつつあるプライバシーや情報セキュリティ等の不安や障害が高まるとともに、現時点では想定していない課題が新たに生ずる可能性も考えられる。こうした問題を未然に解消するため、利用環境面での抜本的な対策を盛り込み、2010年までに国民の80%がICTに安心感を得られる社会になることを目指している。  これら三つの基本軸に沿って政策を展開することにより、ICTが草の根のように生活の隅々にまで融け込み、創意ある利活用を通じて新しい価値が次々に湧き上がる「価値創発」型の社会の実現を目指している。 2 ICT政策大綱  総務省では、情報通信分野における毎年度の重点施策(予算、税制、制度改正等)をICT政策大綱として取りまとめている。平成17年8月に発表した平成18年度ICT政策大綱は、u-Japan政策策定後の最初の政策大綱であり、その進捗状況をチェックする観点から、同政策に掲げる重点分野ごとに平成17年上半期における現状分析を行った上で、各施策を取りまとめている。  その中身は、以下のとおりである。 【重点施策】 1 ユビキタスネットワーク整備に関しては、「地理的デジタル・ディバイドの解消」「有線・無線のシームレスなアクセス環境の整備」、「実物系ネットワークの確立」及び「ネットワーク・コラボレーションの基盤整備」 2 ICT利活用の高度化に関しては、「ICTによる先行的社会システム改革」、「ICTによる国民の安心・安全の確保」、「コンテンツの創造・流通・利用促進」、「ユニバーサルデザインの導入促進」、「ICT人材活用」 3 利用環境整備に関しては、「ネットワークの信頼性・安全性の確保」及び「適正なICT利用の確保」 4 国際戦略に関しては、「アジア全体におけるブロードバンド環境整備の推進」及び「国際的な連携による便利で快適なネットワーク環境の整備」 5 技術戦略に関しては、「UNS(ユビキタスネット社会)戦略プログラム等に基づくICT研究開発プロジェクトの推進」及び「国際標準化の推進」