第3節 情報通信ネットワークの高度化 1 ネットワークインフラの整備・推進 (1)フロントランナーにふさわしい高度なインフラの整備 1 IPv6本格普及に向けた取組  インターネット通信の新しい通信規約であるIPv6(Internet Protocol version 6)は、ほぼ無尽蔵のIPアドレス空間、セキュリティ強化、QoS(Quality of Service)確保、各種設定簡素化(機器をネットワークに接続することにより自動的にアドレス設定)等を実現するものである。  総務省では、インターネットのIPv6への移行をうたったe-Japan戦略等に基づき、平成15年度より3年にわたり、IPv6への円滑な移行を行う上でのネットワーク構築・運用上の課題解決や、各種機器及びサービスの相互接続性確保に取り組むとともに、地方公共団体、地域コミュニティ及び家庭等において魅力あるIPv6アプリケーションを検証する実証実験を実施してきた(図表3-3-1)。本実証実験で得られた成果は国内外に公開し、全世界的なIPv6への移行の促進にも貢献している。 図表3-3-1 平成17年度IPv6移行実証実験の実施事項例  ネットワーク機器、OA機器、テレビ電話、ネットワークカメラ等のIPv6対応製品が市場に出回るとともに、IPv6対応の商用ISPサービスが提供されるなど、IPv6インターネット利用環境が整い始めている。一方、IPv6を用いた映像伝送等の専用ネットワークサービスが提供されるとともに、電気通信事業者の次世代ネットワークの基盤技術としてIPv6の利用が検討されるなど、IPv6の利用範囲は着実に拡大している。  さらに、IT戦略本部が平成18年1月に決定した「IT新改革戦略」において、世界一便利で効率的な電子政府の実現に向け、各府省の情報通信機器の更新に合わせ、原則として平成20年度までにIPv6 対応を図ることとされた。これを通じて、国内のみならず世界的なIPv6の普及につながることが期待される。 2 IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会  昨今、固定電話サービスへの新規参入及びIP電話の急激な拡大等固定電話サービスを取り巻く環境が大きく変化しつつある。このような環境の変化に伴い、電気通信番号が不足する可能性が高まっており、固定電話サービスに供する番号の確保が必要となっている。また、ネットワークのIP化の進展により、電気通信番号に求められる役割についても見直しを行っていく必要がある。  そのため、総務省では、平成16年12月より「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」を開催し、固定電話サービスを取り巻く環境の変化により不足する可能性のある電気通信番号のひっ迫対策のほか、IP化の進展に伴い電気通信番号に求められる役割等について検討を行い、平成17年8月に、第一次報告書を公表した。  同研究会では、引き続き検討を行っており、固定通信と移動通信の融合したFMC(Fixed-Mobile Convergence)等の新しいサービスに利用可能な番号や、コールセンター等行政に対する問合せ用の番号として3桁の1XY番号を設けることの可否、ブロードバンドサービス等の新規サービスの受付に3桁の1XY番号(116)を使用することの競争政策上の検討、インターネット電話への転送について、第二次報告書を取りまとめる予定である。  具体的には、第二次報告書(案)において、FMC等の新サービスに利用可能な電気通信番号については、新規番号としては、「060」番号を利用することが適当であり、既存0A0番号(050、070、080/090)の使用についても、利用者に大きな影響を生じない一定の範囲で利用可能とすることが適当としている。  新規サービス受付への「116」番号の使用については、公正競争上の観点から、FTTH等の新規サービスの受付番号として、「116」番号は広告せず、新規サービスの広告には、着信課金番号等を用いることが適当としている。  行政に対する問い合わせ用1XY番号については、自治体の設置するコールセンター等への問い合わせ用電話番号として、高い公共性が認められ、ひっ迫への影響が小さいことから、3桁の1XY番号を設けることが適当とし、今後、自治体、関係電気通信事業者の間で詳細な検討を進めることが必要としている。  既存電話網から、いわゆるインターネット電話への転送サービスについては、一旦、呼を着信させた上でインターネット電話に転送する形態であることが必要としている。さらに、発信者保護の観点から、インターネット経由で転送する旨を、転送前にガイダンスで告知すること等が必要としている。 3 世界最先端のブロードバンドの整備推進  世界のフロントランナーとして「2010年には世界最先端のICT国家として先導する」ことを大目標と定めたu-Japan政策を踏まえ、「全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会」最終報告書(平成17年7月)において、次世代ブロードバンド環境の整備目標として、デジタル・ディバイドの解消1及び世界最先端のブロードバンド整備を掲げ、2010年に向けた必要な対応を取りまとめた「次世代ブロードバンド構想2010」が提唱された。  また、「平成18年度ICT政策大綱」においても、国際競争力の強化等の観点から、「2010年までに上り30Mbps級以上の次世代双方向ブロードバンドの世帯カバー率を90%以上」とする目標を掲げ、政府としても「IT新改革戦略」(平成18年1月IT戦略本部決定)において、2010年度までのブロードバンド・ゼロ地域解消に向けて、光ファイバ等の整備を推進しているところである。  このような状況を踏まえ、総務省では、世界最先端のブロードバンド環境の実現に向けて、情報通信インフラの整備を促進する措置を引き続き講ずるため、電気通信基盤充実臨時措置法の廃止期限(平成18年5月31日)を平成23年5月31日まで5年間延長したところである。 図表3-3-2 電気通信基盤充実臨時措置法等による支援策 1 第7節1 地理的ディバイドの是正 参照