(8)ITS(高度道路交通システム)の推進  ITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)は、渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図るシステムであり、社会的基盤性が高く国民への影響が極めて大きいシステムである。ITSでは最先端の情報通信技術を活用し電波が様々な形で使用されているが、大別して通信型、放送型及びセンサー型がある。  我が国のITSは世界的にも例のないレベルで普及・高度化しており、累計台数では、カーナビゲーションが約2,230万台(平成18年3月時点)、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)が約1,500万台(平成18年3月時点)、ノンストップ自動料金支払システム(ETC:Electronic Toll Collection)が約1,140万台(平成18年3月時点)をそれぞれ突破している。  さらに今後一層の高度化が期待されるITSのセカンドステージにおいて、総務省では、民間関係団体や関係省庁等産学官の連携を図りながら、ITS分野においてもユビキタス環境を構築し、誰もが、快適に、意のままに移動できる安全・安心な道路交通社会の実現を目指して普及促進・高度化、研究開発、標準化などの施策に取り組んでいる。  ITSの普及促進・高度化について総務省では、「ITS情報通信システム推進会議」(事務局:(社)電波産業会(ARIB))のほか、「スマートウェイ推進会議」や「スマートプレート実用化検討委員会」(事務局:国土交通省)との連携によりその推進を図るとともに、地域におけるITSの普及・展開、アジア(特に中国)に対する我が国のITS技術による国際協力等を進めている。  ITSの研究開発では、平成17年度から3か年計画で、車車間通信技術や路車間通信技術等により、車・道路・人を有機的に結合させ、道路交通分野においてもユビキタスネットワーク環境を享受できるユビキタスITSの実現を目指し、国土交通省のASV(Advanced Safety Vehicle)推進検討会等とも連携を図りつつ、「ユビキタスITSの研究開発」を進めている(図表3-3-9)。 図表3-3-9 ユビキタスITSの研究開発  さらに、我が国のITS関連技術をITU-Rへ提案するなどの国際標準化に取り組んでおり、最近では、ITUにおいて我が国の提案したDSRC-ASL(Application Sub-Layer:5.8GHzDSRCシステム上で複数のアプリケーションを実行可能とするアプリケーション・サブレイヤー)が2005年5月に国際勧告として承認されたところである。  また、警察庁及び国土交通省とともに、VICS車載機やビーコン等を活用した自動車からの情報(プローブ情報)の収集及び活用等による高精度な道路交通情報提供サービスの方向性等による議論を行うための「VICSプローブ懇談会」を開催し、規格・仕様の方向性が策定されるとともに、今後のVICSサービス全般の在り方等について整理した。  「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」(平成17年12月最終報告公表)において、主要な検討事項として「安全・安心ITS」を取り上げ、次世代ITSとしての車車間通信システムや路車間通信システム等の導入・普及シナリオによる望ましい周波数帯等に関する検討が行われた。