(2)不要電波対策 1 無線妨害波に関する規格の策定  電波利用の拡大、各種電気・電子機器等の普及に伴い、無線利用が各種機器・設備から電磁的な妨害を受けることが大きな問題となっている。  不要電波対策については、国際的には、IEC(国際電気標準会議:International Electrotechnical Commission)の特別委員会として、様々な機器・設備から発生する無線妨害波に関する許容値と測定法について検討し、国際規格を策定することを目的に、CISPR(国際無線障害特別委員会:Comite international Special des Perturbations Radioelectriques)が設置されている。  総務省では、情報通信審議会の中にCISPR委員会を設置し、CISPRにおける国際規格策定に寄与しているほか、CISPR国際規格との整合性を図りながら国内規格を策定している。平成17年度は、CISPR15「電気照明及び類似機器の無線妨害波特性の許容値及び測定法」について、150kHz未満の周波数における許容値及び測定法を追加する国内規格を策定した。 2 高速電力線搬送通信に関する検討  電力線搬送通信は、既存の電力線を使用することにより容易にネットワークを構築し、通信を行うことができるものであるが、無線利用への影響を考慮し、現在のところ10〜450kHzの周波数を使用することが可能とされている。近年、この電力線搬送通信について、伝送可能な情報量を増大させるため、使用可能な周波数を拡大(2〜30MHzを追加)することが要望されている。  使用可能な周波数の拡大により高速通信を可能とした電力線搬送通信については、漏えいする電波が無線利用に影響を及ぼすことが懸念されることから、これまで漏えい電波低減技術の開発が行われてきており、平成16年3月からは屋内電力線の使用を中心とした実験によるデータ取得も行われている。  このような状況を受け、総務省では、平成17年1月から「高速電力線搬送通信に関する研究会」を開催し、高速電力線搬送通信と無線利用との共存可能性・共存条件等について検討を行い、平成17年12月に報告書を取りまとめた。また、本報告書を踏まえ、平成18年1月から情報通信審議会において、「高速電力線搬送通信設備に係る許容値及び測定法」について審議が行われている。