(2)デジタルアーカイブの高度利活用の促進 〜デジタルアーカイブを通じたコンテンツの拡大再創造サイクルの確立〜  デジタルアーカイブとは、デジタルコンテンツの蓄積・保存等を行うためのシステムの総称であり、コンテンツの「創造⇒蓄積・保存⇒利活用⇒さらなる創造」のサイクルを確立するための重要なインフラの一部となってきている。そこで、総務省では、ウェブ情報(インターネット上にあるホームページ等の情報)等のアーカイブ化やそのネットワーク利活用を推進するための取組を実施している。 1 ウェブ情報のアーカイブ化の促進  ウェブ情報にはデジタル時代の知識・文化が結集されており、それ自体がデジタル時代の貴重な文化遺産といえるが、日々の更新による消去・散逸が発生しやすい。こうしたことから、諸外国においては、米国、オーストラリア、北欧諸国をはじめとして、世界的にウェブ情報を保存していく取組が開始されつつあるところであり、我が国においては国立国会図書館が平成14年度から実験プロジェクトを開始している。総務省では平成16年度より、国立国会図書館と連携し、様々な主体によるウェブ情報のアーカイブ化とその横断的な利活用を促進するための技術・仕組みの構築・実証に取り組んでいる(図表3-5-2)。 図表3-5-2 ウェブ情報等のデジタルアーカイブ化とその利活用の促進  定期的に収集したウェブ情報を体系化して提供するには、ウェブのURLや収集日等の情報をメタデータ化して蓄積するとともに、それらのメタデータに基づく検索・閲覧等を可能とする必要がある。さらに、今後、地方公共団体やNPO等の様々な主体によるウェブ情報のアーカイブの構築が期待されることから、これらの標準的な技術・仕組みの構築が不可欠となる。このため、本施策においては、平成16年度から2か年間、 [1] 多様なウェブ情報の収集機能の開発・実証 [2] ウェブ情報アーカイブの構造化及び大規模アーカイブの保存機能の開発・実証 [3] ウェブ情報アーカイブ間の連携・横断検索の汎用的技術の開発・実証 [4] ウェブ情報の収集・保存・検索の汎用的なメタデータ等の確立 のための実証実験を実施した。平成18年度は、実証実験の結果を踏まえつつ、ウェブ情報のアーカイブ化とその利活用に関する関係者の理解の促進に取り組むこととしている。 2 アーカイブコンテンツのネットワーク利活用の促進  総務省では平成15年度から、文化庁と連携を図りつつ、ブロードバンドを通じて国や地方の有形・無形の文化遺産に関する情報を公開し、利活用を促進する「文化遺産オンライン構想」(平成15年4月公表)を推進している。  本構想に基づき、総務省では、博物館、美術館等においてデジタル保存されたコンテンツを、ネットワーク上で流通させ、社会・経済・文化・教育等の多様な活動における利活用を推進する上での課題を解決するために必要なメタデータ体系等の検討を目的とした実証実験を平成15年度から2年間実施し、平成17年度は、その成果を公開して関係者の理解を促進する観点から、文化遺産アーカイブの利活用促進に資するシンポジウムを開催した。平成18年度も引き続き、関係者の理解の促進に取り組むこととしている。