(3)労働生産性向上の要因分析 平成2年から平成17年までの我が国の労働生産性成長に対する情報通信資本ストックの寄与を産業別に見てみると、金融・保険業と卸売・小売業のサービス産業で情報通信資本ストックの寄与度が高まっているのが分かる(図表1-1-18)。これに対して、石油・石炭、一般機械、電気・ガス・熱供給・水道業については、情報通信資本ストックの寄与度は低下傾向にある。図表1-1-18 産業別労働生産性成長に対する情報通信資本ストックの寄与 労働生産性に対する、情報通信資本ストックとTFPの寄与を比較すると、平成7年から平成17年までの10年間では、金融・保険業と卸売・小売業のサービス産業及び電気機械で情報通信資本ストックの寄与度が大きく、電気機械、精密機械、輸送用機械、一般機械等の機械製造業においてはTFP成長の寄与度が大きい(図表1-1-19)。図表1-1-19 産業別労働生産性成長に対する寄与 製造業とサービス産業の労働生産性成長率を比較してみると、製造業が過去10年間で4.10%という高い労働生産性の成長を達成したのに対し、サービス産業の労働生産性の成長は1.52%であった(図表1-1-20)。図表1-1-20 労働生産性成長に対する寄与(全産業、製造業及びサービス産業) 労働生産性に対する情報通信資本ストックの寄与度は、製造業が0.15%、サービス産業が0.28%、一般資本ストックの寄与度は、製造業が1.74%、サービス産業が1.10%と、製造業とサービス産業の間に大きな差は見られない。 これに対して、TFP成長率の寄与度は、製造業が2.21%、サービス産業が0.14%と大きな違いが見られ、これが、製造業とサービス産業の労働生産性成長に対照的な結果が生じた大きな要因となっている。