(4)情報通信産業の雇用誘発数 平成17年の情報通信産業の雇用誘発数は約286万人であり、平成7年から平成17年までの10年間でほぼ横ばいの傾向にある(図表1-1-53)。図表1-1-53 主な産業の雇用誘発数の推移 情報通信産業の各部門からの雇用誘発数を見ると、最も大きな割合を占めてきた情報通信関連製造部門の雇用誘発数が大きく減少しており、この10年間で最も大きかった平成9年と比較して平成17年には約40%の減少となった。これが情報通信産業全体の雇用誘発数が伸びていない大きな要因となっている(図表1-1-54)。図表1-1-54 情報通信産業の各部門の雇用誘発数の推移 情報通信関連製造部門の雇用誘発数の推移を品目別に見ると、平成7年から平成17年の10年間で、パソコン、電子計算機本体、電子計算機付属装置及び有線電気通信機器の雇用誘発数が大きく減少していることが分かる(図表1-1-55)。このうち電子計算機本体、電子計算機付属装置及び有線電気通信機器については、輸入割合の増加により国内雇用の誘発効果が減少していると考えられる。この輸入割合増加の影響は、前述の情報通信関連製造部門から情報通信産業以外の産業への付加価値誘発額が増加していない点にも及んでいると考えられる(図表1-1-56)。また、パソコンについては、国内生産額に対する雇用者数の割合である雇用係数がこの10年間で減少していることから、生産性の向上等により生産に対する雇用者割合の減少が、雇用誘発効果の低下の要因になっていると考えられる。なお、電子計算機本体、電子計算機付属装置及び有線電気通信機器についても雇用係数は減少傾向にあり、生産に対する雇用者割合の減少が雇用誘発効果の低下の要因になっていると考えられる(図表1-1-57)。図表1-1-55 情報通信関連製造部門の雇用誘発数の推移(品目別)図表1-1-56 主な品目の輸入係数23の推移図表1-1-57 主な品目の雇用係数24の推移 情報通信産業の付加価値誘発効果、雇用誘発効果いずれもその増加を妨げているのは、主に情報通信関連製造部門に要因があることが分かった。他方、通信部門や情報サービス部門からの付加価値誘発額と雇用誘発額は増加傾向にあるものの、情報通信関連製造部門が情報通信産業に占めるウェイトが大きいことから、情報通信産業全体は同部門の影響を大きく受けているといえる。23 輸入係数とは、最終需要額に対する輸入額の割合をいう24 雇用係数とは、国内生産額に対する雇用者数の割合をいう