コラム 中国におけるBPOの受託例(CompuPacific International(Xi'an)Ltd.,)  中国もまた、近年、BPOの受託が拡大している。ここでは、その一例として、中国における最大のBPO受託企業の一つであるCompuPacific International(CPI)の例を紹介する。  CPIは外国語のコミュニケーションスキルを必要としない文書管理を中心とするBPOサービスを提供する企業であり、北京、西安及び天津に拠点がある。銀行業、小売サービス業、レジャー・娯楽業、インフラ産業(エネルギー、電力等)及び保険業の5分野に特化し、これらの分野に共通的な財務処理、人的資源管理、データ分析、バックオフィス等のアウトソーシングに関するスキルを活用してBPOサービスを提供している。  具体的には、例えば、米国の自動車販売会社の自動車ローン申請書類の処理と形式的な初期審査を行っている。当初、顧客からは、24時間対応、手書きの申請書に関する98%以上の識別率、18分以内の申請書類の返信、生産の規模拡大への柔軟な対応等が要求されたが、CPIはこれらの要求すべてに対応するとともに、顧客の20%のコスト削減と1日当たり1,500件のローン申請処理を実現した。  また、保険会社の保険契約書類の処理も行っており、24時間以内又は郵送による顧客フォーマットの返信、季節変動への完全な対応等、顧客からの様々な要求にこたえ、顧客の50%のコスト削減を実現した。  情報通信ネットワークには、1.5Mbpsの専用線と光ファイバによる接続を利用しており、作業内容によって専用線と光ファイバを使い分けている。例えば、自動車ローン申請書類の処理ではオンライン作業が要求されるため専用線を、保険契約書類の処理では24時間以内に返信する必要があるものの、オンライン作業の必要がないため、最新の暗号化技術を利用した上で、光ファイバで公衆インターネットをそれぞれ利用している。  このようなネットワーク環境に加え、CPIが成功している背景の一つとして、ビジネス環境のグローバル化を挙げることができる。CPIの創業者やシニアマネジャーの多くは、中国や米国でIT技術とビジネス経営の教育を受けた経験のある中国系米国人であり、英語と中国語の両方を使うことができる。さらに、情報セキュリティ管理は国際規格であるISO27001(BS7799)に、品質管理は国際規格であるISO9001にそれぞれ基づいて実施されており、グローバルスタンダードに対応した業務が遂行されている。