コラム 基幹業務・間接業務における取組事例  昭和電機株式会社(本社大阪府大東市)は、産業用送風機や産業用環境機器の製造販売を行う従業員163名の会社である。送風機等は顧客企業の製品に組み込まれて使われる場合が多いため、特注品も多く、顧客の個別の要求に対応した生産品目数も5,500以上に達する。以前は在庫を持って計画生産を行っていたが、品目数が増えると余分な製品在庫を持つリスクが大きくなるため、生産方法を「1人1個流し生産」による受注生産方式に移行した。  このような生産方法の実施にはICTシステムの導入が不可欠である。同社では生産計画にICTシステムを活用し、営業担当者がすぐに納期を回答できる体制を整え、また、受注生産方式に変更した後も、「Beeダッシュプロジェクト」と呼ばれる日々の継続的な改善活動を行うなど、ICTの導入と生産方式の変更等の業務革新との相乗効果を図っている。その結果、製品在庫日数を30日から0.88日に改善し、納期についても、標準品は7日から3日に、特注品でも1箇月から10日に短縮するという効果が生まれた。  同社は、間接業務においても、社内の意思決定速度の向上等について、ICT導入と組織改革による相乗効果を追求している。同社が扱う製品の品目数は非常に多く、個別の顧客からの特注品も少なくないため、顧客からの質問や問い合わせも多種多様なものになり、営業担当者が社内の技術者に相談しなければ答えられないという事態もよく生じた。ところが、社内の技術者は設計開発等の通常業務で忙しく、営業担当者からの質問にすぐに答えられるとは限らないため、顧客への対応が遅くなる場合もあった。そこで、同社は平成14年7月に「is工房(イズコウボウ)」という新しい仕組みを導入した(図表)。 図表 昭和電機における「is工房」による情報共有の実現  isは「いろいろ・そうだん」の頭文字をとったもので、過去にやりとりされたQ&Aをデータベース化して全社員に公開しており、顧客からの問い合わせに営業担当者が自らデータベースを検索して回答するというものである。データベース化されていない問い合わせについても、is工房の担当者が新しく情報を追加していき、今では営業担当者のみならず、技術者も顧客ニーズの把握や技術情報の確認のために利用している。また、一部の情報はインターネットのホームページを通じて顧客や取引企業にも公開しており、問い合わせ対応の迅速化や営業担当者のスキルアップに効果を上げている。