第2節 放送事業 1 放送市場 (1)放送市場の規模 ア 放送事業者の売上高等 (ア)放送事業者の売上高  我が国における放送は、受信料収入を経営の基盤とするNHK(日本放送協会)と、広告収入又は有料放送の料金収入を基盤とする民間放送事業者(一般放送事業者)という二元体制により行われている。また、放送大学学園が、教育のための放送を行っている。  放送事業収入及び放送事業外収入を含めた放送事業者全体の売上高については、有料放送の加入増等を反映して3年連続で増加しており、平成17年度は4兆152億円(対前年度比1.1%増)と、初めて4兆円台に達している(図表2-2-1)。 図表2-2-1 放送産業(売上高集計)の市場規模の推移  その内訳を見ると、NHKの経常事業収入が6,749億円(対前年度比1.5%減)と若干減少し、地上系民間放送事業者の売上高総計が2兆6,138億円(対前年度比0.1%減)とほぼ横ばいであったのに対し、衛星系民間放送事業者の売上高総計は3,414億円(対前年度比8.1%増)、ケーブルテレビ事業者の売上高総計は3,850億円(対前年度比9.0%増)と、それぞれ増加している。  なお、地上系民間放送事業者の売上高総計は、民間放送事業者の売上高総計の65.1%となっており、約2/3を占めている(図表2-2-2)。 図表2-2-2 市場規模内訳 (イ) 民間放送事業者の経営状況  民間放送事業者の営業損益の状況は、次のとおりとなっている。 A 地上系民間放送事業者  引き続き営業黒字を確保しているが、売上高営業利益率は、徐々に低下してきており、平成17年度は7.4%となっている。 B 衛星系民間放送事業者  CS放送事業者については、平成17年度に、それまでの営業赤字から営業黒字に転じている。BS放送事業者についても、引き続き営業損失が発生しているものの、経営状況の改善が進んでおり、平成17年度の売上高営業損失率は11.3%まで低下している。 C ケーブルテレビ事業者  平成14年度に営業赤字から営業黒字に改善した以降も売上高営業利益率の向上が続いており、平成17年度は9.9%となっている(図表2-2-3)。 図表2-2-3 民間放送事業者の売上高営業利益率の推移 イ 民間放送事業者の放送事業収入 (ア)地上系民間放送事業者  無料放送を行っている地上系民間放送事業者の収入の大部分は広告収入であり、平成17年度の広告収入は2兆2,189億円と、売上高の85.4%を占めている。そのうち、テレビジョン放送事業に関するものが2兆411億円、ラジオ放送に係るものが1,778億円となっている(図表2-2-4)。 図表2-2-4 地上系民間放送事業者の売上高に占める広告収入の割合  なお、地上系民間放送事業者は、近年、放送事業外収入の獲得に力を入れており、映画への出資、CD/DVD等の販売、テレビショッピング、イベント企画/開催、携帯電話へのコンテンツの提供等様々な取組が行われており、平成17年度の放送事業外収入は2,057億円に達している。 (イ)衛星系民間放送事業者 A BS放送事業者  民間のBS放送事業者は、有料放送の料金収入又は広告収入によって運営されている。  平成17年度の民間BSデジタル放送事業者5社(キー局系)の合計売上高は200億円に達している。また、営業損益については、一時は営業赤字が300億円を超える状況であったが、年々赤字幅は縮小しており平成17年度には89億円にまで縮小している(図表2-2-5)。 図表2-2-5 BSデジタル放送民放5社の売上高、営業損益 B CS放送事業者  CS放送事業者の収入は、有料放送の料金収入が大部分を占めているが、加入者増を反映して年々増加を続けており、平成17年度のCS事業収入は2,561億円に達している(図表2-2-6)。 図表2-2-6 CS放送の売上高、売上高営業利益率 (ウ)ケーブルテレビ事業者  平成17年度のケーブルテレビ事業の収入は3,850億円となっており、2年連続黒字となっている。