(2)ICT化の今後の展開 ア 携帯電話・IP電話等からの119番緊急通報に係る位置情報通知システム  携帯電話やIP電話からの119番通報が年々増加していることから、総務省では、消防活動がより迅速に、より効率的に行われるよう、消防関係機関や電気通信事業者等と連携を図りながら、平成17年度から発信位置情報を指令台に的確に地図表示することができるシステムの標準仕様を策定するとともに、運用開始に向けたシステムの構築を進めてきたところである。平成19年4月から、119番通報時に、携帯電話(第3世代)からは通報者の緯度・経度、IP電話からは住所情報が一元的に消防本部に通知されるシステムが一部の消防本部で運用開始されたところである。 イ 消防救急無線のデジタル化及び広域化・共同化  消防救急無線は、従来、アナログ方式により、整備・運用されてきたが、秘話性の向上によるプライバシー保護や文字等のデータ通信の活用による利用高度化及び電波の有効活用を図る観点から2016年(平成28年)5月までにデジタル方式に移行されることとされ、現在総務省において各般の検討を進めているところである。 ウ 全国瞬時警報システム(J-ALERT)の整備  総務省では、津波警報、緊急地震速報、弾道ミサイル発射情報等といった対処に時間的余裕のない事態に関する緊急情報を人工衛星を用いて送信し、市町村防災行政無線(同報系)を自動起動することにより、住民に緊急情報を瞬時に伝達する「全国瞬時警報システム(J-ALERT)」の整備に向け取り組んでおり、平成19年2月から、J-ALERTにより津波警報等の一部の情報の送信を開始している。 図表3-4-12 J-ALERTの概要 エ ヘリコプターによる被災地情報収集の充実  災害発生時に広範な被害状況を迅速に把握するためには、ヘリコプターによる上空からの映像を活用した情報収集が大変有効である。現在のシステムは、ヘリコプターから撮影した映像について、いったん、地上の受信装置で受信する必要があるが、地上の受信装置は現在のところ、全国を網羅する形で設置されていない状況にある。このため、総務省では、平成17年度に開催された「初動時における被災地情報収集のあり方に関する検討会」の提言を受け、ヘリコプターから衛星に直接電波を送信する方法により、地上の受信装置がない場合でも被災地情報をリアルタイムで伝送するシステム等の実用化に向けて取り組んでいる。