(3)二国間関係における国際政策の展開 ア 成長のための日米経済パートナーシップ  「成長のための日米経済パートナーシップ」は、2001年(平成13年)6月、米国キャンプデービッドにおいて開催された日米首脳会談において、日米間の対話を通じて持続可能な成長のために協調することを目的として立ち上げられ、次官級経済対話、官民会議、規制改革及び競争政策イニシアティブ等の各種会合の下、毎年多面的に協議を行っている。  2006年(平成18年)6月には、日米規制改革及び競争政策イニシアティブの5年目の対話として、日米政府間で電気通信分野を含む各分野に係る規制改革及び競争政策についての報告書を取りまとめ、公表した。また、同年12月には、6年目の対話として要望書を交換したところである。 イ 日・EU協力のための行動計画  2001年(平成13年)12月に開催された第10回日・EU定期首脳協議において、今後10年間の具体的な協力分野及び内容を定めた「日・EU協力のための行動計画」が採択された。また、2004年(平成16年)6月に開催された第13回日・EU定期首脳協議において、情報通信分野における協力内容を具体化した「ICTに関する協力についての共同宣言」が発出された。同共同宣言において、ユビキタスネット社会の実現、デジタルコンテンツの流通促進、インターネットの安全の確保、迷惑メール対策等について、日・EU間で協力していくこととしている。  これに基づき、総務省と欧州委員会情報社会・メディア総局との間で、閣僚級及び次官級での会談、日・EU定期協議、日・EU ICTシンポジウム等において、共通する政策課題の解決に向けたベスト・プラクティス(模範事例)及び意見の交換を通じて、協力関係を継続及び発展させている。  具体的な協力事項としては、2007年(平成19年)4月の総務大臣と欧州委員会委員との会談において、ICTの安心・安全な利用環境の整備に向けて、啓発イベントの実施や通信事業者の自主的取組に関する意見交換等、官民を交えた連携を推進していくことで合意したところである。  こうした日・EU間における協力の進捗状況について、年1回開催される日・EU定期首脳協議においてフォローアップを行うとともに、重点的協力事項について見直しを行っている。 ウ 欧米との二国間政策協議等  総務省は、各国の情報通信担当省庁との間で、情報通信に関する政策協議を開催している。  2006年(平成18年)4月から2007年(平成19年)4月までの間、フィンランド、イギリス、ドイツ、欧州委員会、フランス及び米国の情報通信担当省庁と政策協議を行い、急速なブロードバンド化等の技術発展に対応する各国のICT戦略や競争政策、電波政策、放送政策に関して、今後の政策の在り方について議論を行うとともに、協力促進に向け、幅広い意見交換を行った。  その他、フランスとは、2006年(平成18年)5月に、ICT分野の日仏間の人材に関する協力活動の強化及びスパム対策における日仏間の協力推進について確認した共同声明を採択し、署名した。  また、イギリス(2006年(平成18年)7月)やカナダ(同年10月)とは、スパム対策に関する二国間の協力推進について確認した共同声明を採択し、二国間、多国間両面からの対話を行い、国境を越えるスパム対策における取組について、協調を図っている。  さらに、イギリス(貿易産業省)及びフランス(経済・財政・産業省)とのICTシンポジウムや、欧州委員会との日・EU ICTフォーラムを開催し、新たなICTを取り巻く現状と課題及び今後の取組について、官民を交えた議論を行った。 エ 日中経済パートナーシップ協議  日中経済パートナーシップ協議は、貿易・投資を中心とする日中経済関係の今後の在り方につき、総合的な見地から議論を行い、両国間経済分野における紛争の未然防止を図るとともに、両国経済の相互補完関係を一層強化していくことを目的として、2002年(平成14年)4月のボアオ・アジア・フォーラム(海南島)において小泉総理大臣と朱鎔基中国国務院総理との間で設立につき合意され、同年10月の第1回会合以降、毎年開催されている。  中国市場に関しては、我が国通信事業者等の関心が高く、総務省は協議への積極的な参加を行っている。2006年(平成18年)12月に開催された会合では、国内事業者からの要望をもとに、中国の国内制度につき質問及び改正要望を行った。 オ 自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)締結に対する取組  EPAについては世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的自由貿易体制を補完するものであるが、WTOの枠組みよりも高い水準の自由化を二国間で迅速に実現できるという利点にかんがみ、我が国は、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)/経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)の締結に積極的に取り組んでおり、既にシンガポール、メキシコ及びマレーシアとの間でEPAが発効しており、2006年(平成18年)9月にフィリピンと、2007年(平成19年)3月にチリと、同年4月にタイとそれぞれ協定署名に至っている。また、インドネシア、ブルネイとの間では大筋合意に達しており、ASEAN全体、湾岸協力理事会(GCC)諸国、ベトナム、インド及びオーストラリアとの間でも交渉中である。これらに加えて、スイスとも交渉を開始することとなっている。  電気通信分野については、WTOルールとの整合性に留意しながら、外資規制の撤廃・緩和、相互接続ルール等の競争促進的な規制の枠組み整備による自由化のほか、共同研究等のICT分野における協力についても協定の締結交渉を行っている。 カ 電気通信機器の認証に関する相互承認の推進  総務省は、我が国の携帯電話等が海外でも円滑に利用できる環境を整備するため、電気通信機器の認証に関する相互承認の推進に取り組んでおり、これまでに、欧州共同体(EU)(2001年(平成13年))及びシンガポール(2002年(平成14年))との間で相互承認協定(MRA:Mutual Recognition Agreement)を締結しており、さらに、米国との間でも、2007年(平成19年)に同協定が署名されたところである。  相互承認協定を実施するため、「特定機器に係る適合性評価の欧州共同体及びシンガポール共和国との相互承認の実施に関する法律」(平成13年法律第111号)が制定されており、今般の米国との協定が署名されたことから、政府は、同法の改正案を第166回国会に提出したところである。