(3)4大マスメディアの利用頻度の変化の要因  4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌・書籍、ラジオ)の利用頻度の変化には、どのような背景があるのだろうか。パソコンや携帯電話利用の定着、また、サービスの多様化や端末の多機能化・高機能化が進んだことによって、パソコンや携帯電話が、これまで4大マスメディアが果たしてきた役割を担うようになったのだろうか。このような仮説を検証するため、次に、テレビ、新聞、雑誌・書籍、ラジオの利用頻度が減少した理由についてそれぞれ詳しく見ることにする(図表1-3-2-3)。 図表1-3-2-3 メディアの利用頻度が減少した理由  テレビの利用が減少した理由は、「メディアの利用以外に時間を使うようになったから」との回答が最も多く、38.4%となっている。それ以外の新聞、雑誌・書籍、ラジオについては、「代わりに他のメディアを利用するようになったから」との回答が最も多くなっており、それぞれ46.2%、40.7%、39.9%の回答があった。また、テレビとラジオについては、「そのメディア自身への興味がなくなったから」との回答がそれぞれ26.8%、28.7%であった。これは、他のメディアへの乗換えや他のことに時間を使うといった他との相対的な評価の低下ではなく、メディア自身への興味を失うというメディア自体の絶対的な評価が下がっていることを表しているといえる。  次に、上記の四つのメディアについて、代わりに他のメディアを利用するようになったために当該メディアの利用頻度が減少したと回答した人に対して、代わりに利用するようになったメディアを尋ねたところ、どのメディアの利用減少者においても、代わりにパソコンを利用するようになったとの回答が突出して多く、7割から9割程度の回答があった(図表1-3-2-4)。また、テレビ、新聞の利用減少者については、代わりに携帯電話を利用するようになったとの回答がそれぞれ21.4%、19.7%であった。つまり、4大マスメディアの利用頻度の減少の要因の一つには、パソコンや携帯電話の代替的な利用があるといえる。先に述べたように、サービスの多様化や端末の多機能化・高機能化の進展、ブロードバンドの普及等によって、パソコンや携帯電話を利用すれば、一方的に流れてくる情報を受信するだけでなく、場所や時間を問わず、欲しい情報を自ら検索して入手し、また、映像や音楽を視聴するなど、様々な情報に多様な方法で接触することができるようになった。このことが、パソコンや携帯電話の代替的な利用を後押ししていると見ることができる。また、近年では、インターネットに接続できるテレビや、テレビを視聴できるパソコン・携帯電話等、従来の「メディア」という枠を超えた新たな形態の端末も登場しており、今後、国民のメディア利用に更に大きな変化が起こることも予想される。 図表1-3-2-4 代わりに他のメディアを利用するようになったために利用頻度が減少したメディアにおいて、代わりに利用するようになったメディア(複数回答)