(4)韓国の情報通信政策の動向 ア 規制緩和ロードマップの推進  通信分野の監督官庁の情報通信部は、2007年(平成19年)3月、市場競争活性化、料金引下げ等による消費者利益向上をねらいとした「通信規制政策ロードマップ」を発表した。ロードマップに盛り込まれた政策の実施状況は以下のとおりとなっている。 [1]バンドル・サービス規制の緩和  2007年(平成19年)7月から、市場支配的事業者に対するバンドル・サービス規制が緩和された。規制緩和により、市場への影響が大きくないと判断される10%までの割引率については支配的事業者への審査が簡素化され、認可のスピードアップも図られた。様々な商品を組み合わせたバンドル・サービスが相次いで開始され、割引等の価格競争が展開されている。 [2]通信役務分類体系の改善  2007年(平成19年)12月から、回線設備を保有する基幹通信役務の分類法が改善され、市場参入規制の緩和が図られた。これまで7種類であった基幹通信役務は、「伝送サービス」、「周波数割当てを受けて提供するサービス」、「電気通信回線設備貸出しサービス」の3種類に統合された。サービス分類の幅が広くなったことで、例えば、インターネット接続サービス基幹通信事業者は、同じカテゴリの「伝送サービス」に含まれる市内電話サービスを別途の許可手続を経ずに提供できるようになった。 [3]VoIPサービス活性化  2008年(平成20年)中に既存の市内電話と070番号で始まるVoIP間の番号ポータビリティを導入する。IP電話加入者も従来の市内電話番号の持ち運びが可能になることで、VoIPサービス活性化を目指す。 [4]移動電話端末補助金の自由化  2006年(平成18年)3月から限定的に解除された移動電話端末への補助金支給を2008年(平成20年)3月に全面自由化する。補助金導入により、ゼロ円端末も多く見られるようになった。 [5]卸売規制の導入  卸売規制導入により、支配的事業者に再販売を義務化し、再販売やMVNOのビジネスモデルの活性化をねらう。卸売料金の決定には情報通信部が介入できる。また、これまで情報通信部の許可を必要としていた支配的事業者の小売料金は、卸売規制導入から3年後に届出制に転換されるため、今後は通信サービス料金が自由化される見通しである。これらの内容を盛り込んだ電気通信事業法が2008年(平成20年)に成立の見通しとなっている。 イ 省庁再編 ―放送通信委員会の設立―  通信と放送の行政機関が、それぞれ情報通信部、放送委員会と二元化されていため、IPTVのような通信・放送融合サービスは、行政機関の所管をめぐり、政策決定及びサービス開始に遅れが生じるという点が指摘されていた。  2008年(平成20年)2月末の省庁再編では、従来の18部から15部に再編された。その結果、これまで通信分野を担当してきた情報通信部が解体になり、情報通信部の通信行政及び電波監理機能と、放送規制機関であった放送委員会が統合され、放送通信委員会が新設された(図表2-6-2-1)。 図表2-6-2-1 省庁再編による通信/放送行政機関の変遷