(5)インドの情報通信政策の動向  GDP成長率約9%の経済成長を背景としてデリーやムンバイ等の都市部を中心に中間所得層や高所得者層が拡大傾向にあり、これらの層が携帯電話市場の発展を支えている。しかし、人口の7割はルーラル地域に居住しており、都市部とルーラル地域の電話普及率の格差は、2007年(平成19年)10月現在都市部の電話普及率56.9%に対しルーラル地域は7.3%と大きな差がある。  2005年(平成17年)に発表されたルーラル地域開発プログラム「バーラト・ニルマン」の下、2008年(平成20年)4月時点で、これまで電話が敷設されていなかった6万6,822箇村のうち、5万3,073箇村に村落公衆電話が敷設された。また、人口2,000人以上で村落公衆電話以外の通信手段が無い村に対してルーラル・コミュニティ電話(RCP)を敷設する計画も進行中で、2007年(平成19年)10月時点で、対象村4万6,253箇村のうち3万7,911箇村にRCPが敷設された。  2006年(平成18年)にインド電信法が改正され、ユニバーサルサービス基金に基づく移動体通信とブロードバンドによるルーラル地方支援が可能となった。2007年(平成19年)6月から、通信手段の無いルーラル地域/遠隔地において移動体通信サービスを提供するため、インド全土の500県以上を対象として合計7,871の携帯電話基地局の整備プロジェクト(Phase I)が実施されており、また、追加的に1万1,049の基地局を設置するプロジェクト(Phase II)も計画されている。これらの施策に対し、ユニバーサルサービス基金から990億ルピー(約2,600億円)を支出することが予定されている。さらに、県庁と直下の郡庁をつなぐ光ファイバ網の整備も計画されている。  第11次国家5箇年計画(2007-2012年)では、ルーラル地域で2億加入、ルーラル地域の電話普及率25%を目指している。また2010年(平成22年)までに、都市部とルーラル地域のデジタル・ディバイドを現在の25:1から5:1に改善することを目標としている。  ブロードバンド、インターネットの普及に関しては、2010年(平成22年)までにインターネット4,000万、ブロードバンド2,000万加入を目標としており、また、ブロードバンド環境の整った共通サービスセンター(Common Service Center)をインド全土に10万箇所設置する計画がある。  今後導入予定の3G及びBWA(Broadband Wireless Access)サービスは、デジタル・ディバイド解消、ブロードバンド普及への貢献が期待されており、政府は2007年(平成19年)に3G及びBWAサービス(2.5GHz帯)に関する大枠のガイドラインを発表したが、周波数割当てはいまだ実施されていない。3Gサービスについては2008年(平成20年)末及び2009年(平成21年)3月以降の周波数割当てが予定されている。