第3節 安心・安全なユビキタスネット社会の構築 1 電気通信サービスに関する消費者行政 (1)インターネット上の違法・有害情報対策 ア インターネット上の違法・有害情報への対応  インターネットの急速な発達・普及は、利用者である国民に大きな利便性をもたらす一方で、インターネット上では、いわゆる「闇サイト」が社会問題となっているとともに、青少年が有害サイトにアクセスして犯罪に巻き込まれたりするなどの問題が発生している。  総務省では、平成17年8月から平成18年8月まで開催された「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」における、インターネット上の違法・有害情報へのプロバイダ等による自主的対応及びこれを効果的に支援する制度・方策に関する検討等を通じて、利用者各人がインターネットの利便性を享受できるような環境の整備に取り組んできている。さらに、平成19年11月からは、青少年に向けたフィルタリングの更なる導入促進、プロバイダ等による削除等の措置の支援、インターネットリテラシーの普及啓発等の違法・有害情報に対する総合的な対応について検討を行うため、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」を開催しており、平成20年4月、携帯電話等のフィルタリングの改善策等に関して中間取りまとめが行われた。 図表3-3-1-1 インターネット上の違法・有害情報に対する総務省の取組 イ プロバイダ責任制限法関係ガイドラインの策定・改定の支援  ウェブページや電子掲示板等における他人の権利を侵害する情報の増加への対策として、平成14年5月に、 [1] 他人の権利が侵害された場合におけるプロバイダ等の損害賠償責任の制限・明確化 [2] 権利侵害を受けた者のプロバイダに対する発信者情報の開示請求権 を規定するプロバイダ責任制限法が施行されたことを受けて、総務省では、同法が適切に運用されるよう、社団法人テレコムサービス協会内に設置されている「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」に対する支援や周知を行っている。 ウ インターネット上の違法・有害情報に対するプロバイダ等の自主的対応に関する支援  政府は、「IT安心会議」(インターネット上の違法・有害情報等に関する関係省庁連絡会議)において、平成17年6月に「インターネット上における違法・有害情報対策について」、平成19年10月に「インターネット上の違法・有害情報に関する集中対策」を取りまとめるなど、インターネット上の違法・有害情報対策を推進しているところである。  総務省においても、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」最終報告書(平成18年8月)の提言を踏まえ、平成18年9月から、社団法人電気通信事業者協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会及び社団法人日本ケーブルテレビ連盟とともに、インターネット上の違法な情報及び公序良俗に反する情報に対するプロバイダ等による適切かつ迅速な対応を促進するための方策について検討を行った。  その検討結果を踏まえ、上記4団体は、平成18年11月に、インターネット上に掲載された情報の違法性の判断基準及び送信防止措置等の手続を定めた「インターネット上の違法情報への対応に関するガイドライン」並びにプロバイダ等が違法・有害情報に対して契約約款に基づく自主的な対応を行うための「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」を策定した。また、平成20年1月には、プロバイダ等の事業者からの違法・有害情報に関する相談・問い合わせ等を受け付ける「違法・有害情報事業者相談センター」をテレコムサービス協会内に設置した。 エ フィルタリングの普及促進  近年、青少年がいわゆる出会い系サイト等のインターネット上の有害サイトにアクセスし、事件に巻き込まれるケースが多発しており、社会問題となっている。インターネット上の有害情報への対応については、利用者の意思によって情報の取捨選択を可能とするフィルタリングが有効な対策の一つであり、総務省では、平成16年度から、携帯電話事業者と連携して、フィルタリングの研究開発を行い、平成17年7月から携帯電話事業者はフィルタリングサービスの提供を開始している。  フィルタリングに関係する業界団体は、フィルタリングの一層の普及を図るため、総務省及び経済産業省と連携して、「フィルタリングの普及啓発アクションプラン」を策定し、普及啓発活動に努めているところである。  総務省は、フィルタリング導入促進のため、平成18年11月に携帯電話事業者等に対し、フィルタリングサービスの普及促進に向けた自主的取組を強化するよう要請したほか、平成19年2月には警察庁及び文部科学省と合同で、都道府県知事、教育委員会、都道府県警察等に対し、携帯電話のフィルタリングについて学校関係者や保護者をはじめとする地域住民への周知啓発活動に取り組むよう要請した。  さらに、総務省では、平成19年12月に携帯電話事業者等に対し、青少年が利用する携帯電話等に関し、フィルタリングサービスの利用を原則とした形で親権者の意思確認を行う等のフィルタリングサービス導入促進活動の強化をするよう要請したほか、平成20年4月には、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」中間取りまとめに示された方向性を踏まえ、フィルタリングの改善等に取り組むよう、携帯電話事業者等に対し、要請したところである。  総務省では、今後も引き続き業界や関係省庁等と連携し、青少年が安心してインターネットに接続できる環境の整備に取り組んでいくこととしている。