8 ICT人材の育成 (1)高度ICT人材の育成  我が国が引き続き世界最高水準のICT国家であることを維持し、国際競争力の維持・向上を図っていくためには、技術進歩の著しいICT分野に関する高度な知識や技能を有する人材の育成が重要である。  このため、総務省では、平成13年度から、情報通信人材研修事業を実施する第三セクターや公益法人に対し、当該事業に必要な経費の一部を助成する「情報通信人材研修事業支援制度」を実施しており、これまで650件に対し助成を行い、約2万2,300名に対して研修を行っている。  また、近年、研究開発能力を有し最先端の技術動向や市場ニーズを踏まえたイノベーション戦略を企画・推進できる人材の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、平成18年11月から「ICT分野の研究開発人材育成に関する研究会」を開催し、平成19年6月に報告書の取りまとめを行った。  同報告書では、ICTイノベーションリーダの育成における基本的な考え方として、研究開発を実践する「実経験」を育成の中心に据え、リーダの「資質」を持つ人材を、競争と刺激、人材交流のある「実践の場(環境)」におき、出口を理解した優秀な「指導者」を配置するとともに、適切な「評価」と長期的な視点に立った育成が重要であるとし、この考え方に基づいてICTイノベーションリーダを育成していくことが重要であるとの提言がなされた。  さらに、平成19年5月に策定された「ICT国際競争力強化プログラム」において、人材育成については、ナショナルセンター的機能を有する高度ICT人材育成機関の在り方等を含む抜本的な高度ICT人材育成策の検討をすることとされていることを受けて、総務省では、国際競争力を強化するために求められる高度ICT人材育成機関・機能の在り方等を含む抜本的な高度ICT人材育成策について検討を行うことを目的として、平成19年9月から「高度ICT人材育成に関する研究会」を開催し、平成20年5月に報告書を取りまとめた。  同報告書では、高度ICT人材育成に向けた取組の基本方針として、必要な高度ICT人材が自律的に輩出されるようなメカニズムが構築されることが必要とされており、そのため産学官が連携して総合的・複合的に実施する必要がある取組として、 [1] ICT産業構造の改革 [2] 高度ICT人材予備軍(新卒採用段階)の実践的な能力の育成 [3] 高度ICT人材候補者(社会人)の継続的育成 [4] グローバル化への対応 [5] 高度ICT人材育成の取組の横展開の推進(高度ICT人材の量的拡大、地方人材の育成) [6] 高度ICT人材育成を一体的、継続的に進めるための推進体制の強化・整備 が挙げられた。  さらに、喫緊に取り組む必要がある高度ICT人材育成策として、 [1] 実践的な高度ICT人材育成に特化した新たな「育成の場」の整備 [2] ICT人材の育成の場を社会・経済・産業の環境・ニーズの変化に的確に対応できるよう支援するための仕組み(ナショナルセンター的機能)の整備 が必要との提言がなされた。