(2)アジア・太平洋地域における国際政策の推進 ア アジア・太平洋経済協力(APEC)における活動  アジア太平洋経済協力(APEC:Asia-Pacific Economic Cooperation)は、アジア太平洋地域の持続可能な発展を目的とし、域内の全主要国・地域が参加する国際会議である。電気通信分野に関する議論は、電気通信・情報作業部会(TEL:Telecommunications and Information Working Group)及び電気通信・情報産業担当大臣会合(TELMIN:Ministerial Meeting on Telecommunications and Information Industry)を中心に行われている。  総務省は、自由化分科会(LSG)副議長を担当するとともに、APEC加盟国・地域間で共有すべき目標である「アジア太平洋情報通信社会(APIS)ビジョン」の策定、我が国の情報通信政策の紹介及び研究開発プロジェクトの実施等を通じ、APECの情報通信関連活動へ積極的に貢献している。  2008年(平成20年)3月にはAPEC TEL第37回会合が東京で開催され、APISの実現に向けた議論等が行われた。また、2008年(平成20年)4月にはAPEC TELMIN第7回会合がタイ(バンコク)で開催され、我が国における取組及び様々な課題解決におけるICTの重要性を強調・提案し、APEC TELの今後の活動として、ICT利用による気候変動問題への取組、デジタル・ディバイドの解消等のためのAPISビジョンの促進、ユニバーサル・ブロードバンドアクセスを2015年までに実現可能とするための検討開始、次世代ネットワークのための政策枠組みの検討及び迷惑メール・サイバー攻撃への国際協力強化等の内容が盛り込まれた「バンコク宣言」が採択された。 イ アジア・太平洋電気通信共同体(APT)における活動  アジア・太平洋電気通信共同体(APT:Asia-Pacific Telecommunity)は、1979年(昭和54年)に設立されたアジア・太平洋地域における電気通信専門の国際機関であり、同地域における電気通信の均衡した発展を目的として、研修やセミナーを通じた人材育成、標準化や無線通信等の地域的政策調整及び地域的な電気通信問題の解決等を行なっている。  APTでは、2005年度(平成17年度)から、我が国からの特別拠出金により、情報通信網が十分整備されていない地域にインターネット等の環境を整備するプロジェクトを支援する「デジタル・ディバイド解消のためのパイロットプロジェクト支援」を実施しており、2007年度(平成19年度)は、タイとカンボジアに対してプロジェクト支援を実施した。  さらに、2006年度(平成18年度)からは、ブロードバンド化に向けた競争環境整備に必要な人材育成等を支援する「アジア・太平洋地域におけるブロードバンド普及に向けた環境整備支援」を開始しており、2007年度(平成19年度)は、移動通信をテーマとした中長期研修「我が国におけるブロードバンド及び移動体通信の動向」を実施した。 ウ 東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国との協力  総務省は、アジア地域における国際協力を一層強化していくため、東南アジア諸国連合(ASEAN:Association of South-East Asian Nations)諸国との間で、要人を迎えての政策協議の実施や情報通信分野における国際共同実験、ODAを活用した技術協力プロジェクトや専門家派遣・研修・セミナー等の人材育成施策等を実施している。  また、2007年(平成19年)8月、カンボジアにおいて、第2回日本ASEAN情報通信大臣会合が開催され、総務副大臣から、2007年(平成19年)から2009年(平成21年)における日本とASEANとの間の協力に係る作業計画「ASEAN-Japan ICT Work Plan 2007−2009」を提案し、審議を経て承認されたほか、円滑な経済活動を行う上で重要である情報セキュリティの強化を目的とした「アジア情報セキュリティ政策会合(仮称)」の開催を提唱し、賛同を得た。