2 日本の情報通信産業が直面する課題  以上見たように、世界的な経済の停滞が深刻化する中で、日本の情報通信産業にも大きな影響が生じている。ただし、これは世界経済と連動した輸出減による影響が大半を占め、輸出が回復するまでの間、危機をチャンスととらえ、日本の情報通信産業が抱える中長期的な課題を克服するための改革に挑戦する良い機会でもある。  以下では、総務省が毎年作成している情報通信産業連関表による推計結果を活用し、日本の情報通信産業が直面する中長期的な課題について考察する。なお、情報通信産業連関表における「情報通信産業」とは、経済的活動として情報を生産、収集、加工、蓄積、提供、伝達する情報通信活動を行う産業と定義10しており、「通信業」「放送業」「情報サービス業」「映像・音声・文字情報制作業」「情報通信関連製造業」「情報通信関連サービス業」「情報通信関連建設業」「研究」の8部門の合計として集計されたものである11。 10 例えば、学校や裁判所では、授業や裁判のために情報が生産され、また収集、加工、蓄積、提供、伝達がおこなわれているが、これらは経済的活動とみるよりは社会的活動とみる方が適切と考えられるため、情報通信産業の対象からは除外する 11 情報通信産業連関表における部門分類については付注3参照