3 停滞の中で萌芽する情報通信のダイナミズム  以上見てきたように、日本の情報通信産業は、短期的には世界同時不況の影響により厳しい経営環境に直面しているとともに、新興国を含めたグローバル競争の中でさまざまな中期的な課題も顕在化しており、自己変革が求められる時代を迎えている。  一方で、情報通信産業内の個々の市場に注目すると、市場構造の変化やプレイヤーの変化の胎動が生じていると共に、今般の不況下でもICTを経営に積極的に活用することにより最高益をあげる企業もあり、停滞の中で萌芽する情報通信のダイナミズムをうかがうことができる。  日本の情報通信産業が、危機をチャンスととらえ、中長期的課題を克服する改革に挑戦するためにも、このダイナミズムの詳細について分析する。