(3)国民の情報活用能力の高低と情報源の有無の関係分析 ●情報活用能力の低い人は家族を、高い人は書籍やウェブサイトを情報源に  情報通信を利用していく中で利用方法等が分からず困った際には、一般的に、身の回りの人に相談したり、参考となる情報が得られるウェブサイトや書籍を参照する等して問題を解決することが多いと考えられる。情報源の数は、利用者の情報収集能力や課題解決能力も向上させることが予想されるため、情報源の数と情報活用能力の高低との関係を分析してみよう。  情報活用能力の高低別に情報源の種類をみると、「家族の中に相談できる人がいる」人は、情報活用能力が低い人ほどその割合が大きくなっている一方で、「参考となる情報が得られる書籍・雑誌等を知っている」「参考となる情報が得られるウェブサイトを知っている」人の割合は情報活用能力が高いグループほど大きくなっていることが分かる(図表3-3-3-6)。 図表3-3-3-6 情報活用能力の高低と相談者・参考となる情報源の有無 (出典)総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(平成21年) ●情報活用能力の高い人ほど情報源を多数持つ  また、情報活用能力の高低別に、利用者が持つ情報源の個数の内訳をみたのが図表3-3-3-7である。その結果、情報活用能力が低くなるにつれて、情報源が1個以下の人の割合が高くなる一方、情報活用能力が高くなるにつれて、情報源を2個以上持つ人の割合が高くなっており、情報活用能力の高い人ほど多くの情報源を持っていることが分かる。 図表3-3-3-7 情報活用能力の高低と相談者・参考となる情報源の個数 (出典)総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(平成21年)  以上より、情報活用能力の低い人は、情報通信の利用において困ったときに、家族に相談をすることが主たる解決手段である人が多い一方、情報活用能力の高い人は、情報通信を利用する上で困ったときに頼りにする情報源を数多く持っており、その情報収集能力や課題解決能力の高さが、情報通信の利用に対する不安感を軽減していることがうかがえる。 ●情報活用能力の低い人でも、相談先を複数持つ人は不安が小さい それでは、情報活用能力の低い人のうち、情報源を複数持つ人と持たない人とでは、情報通信の利用に対する不安感はどのように異なるのであろうか。情報活用能力の低い人について、身近な情報源の種類や参考となる情報源の数別に不安感を見てみると(図表3-3-3-8)、情報源が1個以下の人のうち、不安と回答した人の割合は56.3%、2個以上の人は50.6%となっており、情報源2個以上の人の方が不安を感じている人の割合が少ない。したがって、情報活用能力の低い人でも、情報源を複数持っている人は、情報源を持っていない人や1つしか持っていない人に比べて不安感が比較的小さいことが分かる。 図表3-3-3-8 情報活用能力の低い人における情報源の数と不安との関係 (出典)総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(平成21年)