(5)企業の情報活用能力の高低による不安感の分析 ●情報活用能力の高い企業ほど不安が小さい  それでは、企業における情報活用能力の違いは、情報通信利用への不安にどのような影響を与えるのだろうか。  約半数の企業が不安であると回答した「情報セキュリティ」「プライバシー」「違法・有害コンテンツ」の三大不安について、情報システム活用に関する人材の育成や確保のための取組数別に不安感を見てみよう。図表3-3-3-11がその結果を示すが、3分野全てにおいて、取組数が多い企業ほど情報通信利用に対する不安感が小さくなっており、情報活用能力の低いグループと高いグループの差は、「情報セキュリティ」が19.6ポイント、「プライバシー」が21.6ポイント、「違法・有害コンテンツ」が11.8ポイントとなっている。 図表3-3-3-11 企業の情報活用能力別の三大不安に対する不安感 (出典)総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(平成21年)  また、具体的課題に対する不安感を見てみよう(図表3-3-3-12)。情報活用能力が低い企業と中程度の企業を比較すると、不安感低下の効果は具体的課題によって異なるが、情報活用能力が高い企業は、全ての課題において不安感が明確に小さくなっている。 図表3-3-3-12 企業の情報活用能力別の具体的課題に対する不安感 (出典)総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(平成21年)  以上の結果から、国民と同様に、「情報セキュリティ」「プライバシー」「違法・有害コンテンツ」の三大不安については、企業の情報活用能力を高めることが不安低下に効果があることが分かった。先に見たとおり、業務における情報通信の利用が進んでいない業種や中小企業は、情報活用能力の低い企業が多いため、情報通信利用への不安を減らすためには情報システム活用に関する人材育成・確保のための取組を進めていくことが重要である。