第4節 I×C×Tで日本復活へ  本章では、第2章における情報通信の「基盤」「利活用」「安心」の国際比較による評価結果を踏まえ、「日本復活へ向けた3つの挑戦」と題し、具体的な方向性を提示した。すなわち、世界的な経済危機から脱し、早期に日本復活を果たすには、情報通信政策の観点から、以下の3つに集中的に取り組むことが必要である。 [1] Investment(投資):情報通信利用産業を中心に、情報化投資を大幅に加速 [2] Collaboration(協働):情報通信産業が触媒となって、関係者間の協働を積極的に推進 [3] Trust(電縁):ネットと現実の良いバランスで、地縁・血縁に電縁が重なる社会を実現  最後に、第1章の「情報通信と成長を結ぶ経路」との関係を整理しておこう。まず、[1]のInvestment(投資)は、主として「経済力の経路」を通じ、情報化投資の大幅加速が情報資本の蓄積を促進するとともに、イノベーションによる生産性の上昇にも寄与し、成長に結びつくこととなる。次に、[2]のCollaboration(協働)は、同じく主として「経済力の経路」を通じ、関係者間の協働が情報通信を利用する側の生産性上昇に寄与し、成長に結びつくこととなる。さらに、[3]のTrust(電縁)は、「知力の経路」と「社会力の経路」の双方を通じ、電縁社会における情報活用能力の向上は人的資本増に、紐帯の強化は社会関係資本増にそれぞれ寄与し、成長に結びつくこととなる。 図表3-4-0-1 日本復活へ向けた3つの挑戦(I×C×T)