2 海外の情報通信政策の動向 (1)米国の情報通信政策の動向 ア オバマ政権の情報通信政策  2009年1月、8年ぶりの民主党政権であるオバマ政権が誕生した。オバマ大統領は、公約に基づき、政府によるブロードバンド基盤整備、「ネット中立性原則」の支持、セキュリティ等の確保、研究開発の強化等を具体的に実施していくとしている。また、議会への強い働きかけにより、2009年2月、総額7,872億ドルに上る景気刺激策を盛り込んだ「米国再生・再投資法」が成立、ブロードバンド展開等について、具体的な予算措置等が盛り込まれた。なお、2009年3月初旬には、FCC新委員長には、ジュリアス・ジェナカウスキー氏を指名している。 イ 地上デジタル放送の推進と移行期限の延長  米国では、2009年2月17日の地上デジタル放送の移行を円滑に実施することを目的に、地上デジタル放送に対応した機器を導入できない世帯に対して、デジタル・アナログ変換機の購入補助として、1世帯当たり40ドルの購入クーポンを2枚まで支給するプログラム(クーポンプログラム)が2008年1月から実施開始された。しかしながら、地上デジタル放送への移行直前、同クーポンへの申し込み額が予算額を上回り、クーポンプログラムの円滑な実施に支障が生じた。これに対応するため、2009年1月のオバマ政権成立前後から議会において関連法案の審議が急ピッチで進められ、2009年2月には当初の移行期限を2009年6月12日まで延期する法律が成立するとともに、クーポンプログラム予算の増額を行った。なお、延期された期限に先立ち、一部地域ではアナログ放送が終了している。