第5節　研究開発の推進

1　我が国の国際競争力を強化するための研究開発戦略

　総務省では、我が国の科学技術政策の根幹である「第3期科学技術基本計画」（平成18年3月閣議決定）及びその戦略的重点化のため策定された「分野別推進戦略」（平成18年3月総合科学技術会議）を踏まえて研究開発の推進に取り組んでいる。
　また、近年、我が国の国際競争力が大きく低下している中で、ICT産業の競争力強化が我が国全体の国際競争力強化につながると期待されている。そのような背景のもと、ICT分野において今後我が国が取るべき研究開発・標準化戦略として「我が国の国際競争力を強化するためのICT研究開発・標準化戦略」が平成20年6月に情報通信審議会答申として取りまとめられた1。総務省では、このうち特に研究開発戦略を「UNS2研究開発戦略プログラムII」と位置づけ、本戦略に基づいた積極的な研究開発の推進を行っている。
　同プログラムは、「UNS戦略プログラム」（平成17年7月情報通信審議会答申）を基礎としつつ、我が国の国際競争力の強化のほか、国民の生活・安全の確保、地球温暖化への対処といった課題に、より適切に対処する観点から策定された。その内容は研究開発課題とその目標等を明確に設定した研究開発ロードマップと、今後、我が国が積極的・重点的に取り組んでいくべき研究開発課題の明確化を含めた研究開発推進方策から構成されている。
　「UNS研究開発戦略プログラムII」では、研究開発課題は以下の三つの領域に分類されるほか、この三つの領域すべてにまたがる「地球環境保全（地球温暖化対策技術）」分野が新たな研究開発分野として追加された（図表5-5-1-1）。

図表5-5-1-1　UNS研究開発戦略プログラムII（3つの領域と11の研究開発分野）

[1]　「新世代ネットワーク」領域
[2]　「ICT安心・安全」領域
[3]　「ユニバーサル・コミュニケーション」領域
　今後、我が国の国際競争力強化に向けて、独立行政法人情報通信研究機構をはじめとして、グローバル展開を意識した中期戦略を共有し、産学官が一層連携を強化して、研究開発を効果的かつ効率的に実施していくことが求められる。
　以下、この三つの領域における研究開発施策及び「UNS研究開発戦略プログラムII」を推進するための研究開発環境の整備について述べる。

1　参考：我が国の国際競争力を強化するためのICT研究開発・標準化戦略：http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/080627_6.html
2　UNS：Universal Communications, New Generation Networks, Security and Safety for the Ubiquitous Network Society