本編 第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現 〜コミュニケーションの権利を保障する「国民本位」のICT利活用社会の構築〜  情報通信技術(ICT)は、情報のリアルタイムの入手、共有、発信、蓄積、解析、活用等を容易にし、個のエンパワーメントや利便性の向上、経済・社会活動の効率的遂行などが可能となり、あらゆる地域において様々な効用をもたらす。たとえば、ICTで個人や自治体・関係機関等の「つながり力」を強化することにより地域を活性化するとともに、地域社会の絆を再生することが期待できる。また、ICTで情報をリアルタイムで「収集・解析・可視化」することにより経済・社会活動のさらなる効率化への道が開かれ、環境問題の解決や地域活性化にもつながる。さらに、ICTが産業の枠を超えたオープンな環境を支え、個人・関係機関等の「知識集約・協働」を促進することで、イノベーションによる新規事業や新規雇用の創出、国際競争力の強化が実現される。平成22年版情報通信白書では、第1部の特集テーマを「ICTの利活用による持続的な成長の実現」と設定し、コミュニケーションの権利を保障する「国民本位」のICT利活用社会の構築に向けた方向性について、詳細に検討することとした。  まず、第1章では「ICTによる地域の活性化と絆の再生」について、国民本位のICT利活用を推進した場合にいかに国民の便益が向上して地域が活性化されるか、そして「つながり力」を強化して失われつつある地域社会の絆が再生されるかなどについて、定量データや先進事例などにより検証する。第2章「グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化」では、地球的課題である環境問題について、グリーンICTの推進により、我が国がいかに国際社会に貢献できるかを検証するとともに、グリーンICTを地域の活性化に結び付けている先進事例を紹介する。第3章では「ICTによる経済成長と競争力の強化」として、我が国が本格的な少子・高齢化社会を迎える局面において、持続的な成長を続けるためのICTによる新たな経済成長への道筋と、産業の枠を超えた「知識集約・協働」環境が支えるイノベーション並びに我が国の強みを生かしたグローバル展開を通じた国際競争力強化の道筋について検証する。