(2)地域のICT利活用状況 ●防災分野の実施率は28.3%、その他の分野はおおむね10%以下  では、実際に我が国における地域のICT利活用状況はどうなっているのだろうか。地域の「医療・介護」「福祉」「防災」「防犯」「教育」「就労」「交通」「地域コミュニティ」「観光」「地域産業」の10分野における典型的な先進ICTシステム利活用事業3の実施状況を調査4した結果が図表1-1-1-3である。これによると、防災分野の実施率は28.3%となっており、その他の分野はおおむね10%以下の実施状況となっている。 図表1-1-1-3 全国自治体のICT利活用状況(総括) (出典)総務省「地域におけるICT利活用に関する調査研究」(平成22年) ●指数上位の地域ブロックは「北陸」「中国」「近畿」「甲信越」「東海」。ブロック別に利活用が進む分野に特徴  地域ブロックごとに各10分野の利活用実施率、平均、標準偏差に基づき指数を算出し、これらの指数の10分野平均を算出して各地域ブロックの総合指数としたのが図表1-1-1-4である5。これをみると、指数上位の地域ブロックは「北陸」「中国」「近畿」「甲信越」「東海」の順となっている。 図表1-1-1-4 地域ブロックごとのICT利活用の実施状況(総合指数) (出典)総務省「地域におけるICT利活用に関する調査研究」(平成22年)  また、ブロック別の総合指標の上位5ブロックの10分野の実施状況をみたのが図表1-1-1-5であるが、ブロック別にみても、やはり防災での利用が突出して高い結果となっており、地域特性はみられない。このような状況において、国民目線に立ち、利用者の利便性に配意したICTシステム・サービスを各地域において推進していくことが重要課題であるといえよう。 図表1-1-1-5 地域ブロックにおける各分野の実施状況(上位5ブロック) (出典)総務省「地域におけるICT利活用に関する調査研究」(平成22年) 3 ICTを利用した各種事業のうち、典型的な先進的ICTシステムの利活用事業を対象としている 4 全国の自治体を対象とした郵送調査で回答数は982であった。自治体及び外郭団体(都道府県、市町村、公立医療機関、公立校、社会福祉協議会、観光協会、各種外郭団体等)が運営している事業を把握している 5 分野ごとに、地域ブロックの実施率、平均、標準偏差を基に、分野の平均50、標準偏差10となるように各地域の実施率の値を規格化して指数化し、地域ブロック10分野の指数の平均を総合指数とした