(1)我が国のICTの基盤及び利活用に関する国際比較 ア 評価手法 ●包括的な8分野16指標で、ICTの基盤(整備、普及)及び利活用の進展度をバランスよく評価  平成21年版情報通信白書第1部第2章第2節2(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h21/html/l2220000.html)では、我が国を含む7か国(日本、米国、英国、韓国、シンガポール、スウェーデン、デンマーク)の基盤及び利活用の国際比較結果を掲載した。本年は、ICTの進化、諸外国におけるICTの普及及び発展状況などを勘案した包括的かつバランスのとれた8分野16指標(図表1-1-3-1)を用いて、我が国のICT基盤及び利活用の進展度を、25か国17間の比較により評価することとした。 図表1-1-3-1 我が国の基盤(整備、普及)及び利活用の進展度評価に使用する指標の構成 (出典)総務省「ICT基盤に関する国際比較調査」(平成22年)  各指標は恣意性を排除かつ中立性を確保するため、国際機関等によって既に公表されている最新データを原則そのままの形で利用18した上で、25か国間での偏差値を算出し、比較した。 イ 全体及び分野別の評価結果 ●全体の総合評価は25か国中第2位で、基盤(整備)が先行する一方、基盤(普及)と利活用に課題  比較した結果を図表1-1-3-2に示す。ICTの基盤(整備、普及)及び利活用の進展度を表す全体の総合評価(ICT総合進展度)では、第1位は韓国、第2位は日本、第3位デンマーク、次いで、スウェーデン、 米国となり、我が国は25か国中第2位という結果となった。 図表1-1-3-2 ICT総合進展度、分野及び指標別のランキング (出典)総務省「ICT基盤に関する国際比較調査」(平成22年)  続いて、基盤、利活用別及び分野別の詳細な結果をみてみよう。基盤(整備)については、分野別で比べると「7.安定性」が第4位であるものの、「6.先進性」及び「8.許容性」の双方で第1位となっているため、総合でみると我が国が第1位という結果となった。  基盤(普及)をみると、分野別では「4.固定ネット普及」が第7位、「5.モバイル環境普及」が第11位であることから、総合で第8位となり、基盤(整備)の第1位と比べるとやや見劣りのする結果となっている。  そして、利活用については、総合では第16位で中央(13位)より下位といったように、基盤(整備及び普及)の評価を考えると、極めて下位の順位となっている。これについて分野別の詳細な結果をみると、「1.個人の利活用」は第9位、「2.企業の利活用」は第8位であり、これらは基盤(普及)の総合の第8位とほぼ同様となっている。しかし、「3.政府の利活用」は第18位と、今回評価した分野の中で最も低い順位を示しており、今後、特に注力が求められる分野であることが浮き彫りとなった。 ウ ランキング上位国の状況 ●日本以外の諸国については、全体的なバランスを保ちつつ特定の指標で強みを示す傾向  最後にICT総合進展度の上位5か国のうち日本以外の諸国の特色について、分野及び指標単位で比較した結果(図表1-1-3-3)に基づき以下にまとめる。 図表1-1-3-3 ICT総合進展度上位5か国の分野別及び指標別比較 (出典)総務省「ICT基盤に関する国際比較調査」(平成22年) ○ 韓国  日本と同様、基盤(整備)に注力している一方で、基盤(普及)、利活用についても全体的に高い値を示しており、特に「3.政府の利活用」分野の「(3)国民向けサービス充実度」は25か国中第1位となっている。 ○ デンマーク  「(10)携帯電話料金」は25か国中第1位で、他には「(14)安全なサーバ数」「(15)インターネットホスト数」で高い値を示している。 ○ スウェーデン  25か国中第1位の「(6)固定ブロードバンド普及率」の高さから、「(1)個人インターネット利用率」「(2)企業インターネット活用度」についても25か国中第1位である。 ○ 米国  基盤(普及)は見劣りする一方で、基盤(整備)と利活用はバランスの取れた値を示している。インターネット発祥国であることから「(15)インターネットホスト数」については、25か国の中で2位以下をはるかに上回り第1位となっている。 17 地域バランス、出典データの入手容易性及び公表の継続性等を考慮して、[1]日本、[2]米国、[3]英国、[4]韓国、[5]シンガポール、[6]スウェーデン、[7]デンマーク、[8]イタリア、[9]インド、[10]オーストラリア、[11]オーストリア、[12]オランダ、[13]カナダ、[14]スイス、[15]スペイン、[16]ドイツ、[17]ニュージーランド、[18]フィンランド、[19]ブラジル、[20]フランス、[21]ベルギー、[22]ポルトガル、[23]南アフリカ、[24]ロシア、[25]中国を対象とした 18 詳細については付注3を参照。また、(7)固定ブロードバンド料金、(10)携帯電話料金については、値が低くなるほど評価が高くなるため、逆数をとっている。さらに事実誤認が明らかな場合、出典のデータをそのまま用いると公平性に欠ける場合にはデータを加工している