2 ソーシャルメディアによる絆の再生  核家族化が進み、家族の絆も薄れがち、隣近所付き合いも少なくなり、町内会・自治会活動も不活発、NPO・ボランティア・住民活動も参加意欲はあるものの、参加するきっかけや情報がないという地域社会の現状において、ICTを活用した絆の補完が期待されている。ICTによる個からの情報発信や他者とのコミュニケーションの機能が最大限に活用されているアプリケーションの代表例が、ブログ、SNS、動画共有サイトなどのソーシャルメディアとよばれるものである5。たとえば子育て支援サイトを通じて、血縁を超えて子育てに関する様々な情報や経験を共有したり6、地元が豪雨に見舞われた際、地域SNSが被災情報を逐次発信し地域住民間や外部とのつながりを強めた例など7、家族、世代間、地域の絆を補完していると見られる事例は数多く挙げられる。  では、実際にソーシャルメディアが社会における不安や絆に対する意識にどう影響しているのであろうか。以下では、ソーシャルメディア利用者に対して行った意識調査8の結果から検証する。 5 総務省情報通信政策研究所「ブログ・SNSの経済効果に関する調査研究」(平成21年)によると、2009年1月現在でブログの会員数(開設者数)は約2,695万人、SNSの会員数は7,134万人と推計されている 6 たとえば、NPO法人「はままつ子育てネットワークぴっぴ」が浜松市と共同で制作・運営している子育て支援サイトの「ぴっぴ」がある(http://www.hamamatsu-pippi.net/) 7 和崎(2010)は、兵庫県佐用町の地域SNS「さよっち」(http://sayo-chi.jp/)が同町を襲った2009年8月の豪雨の際、町役場が浸水し防災無線や町のホームページが不通となる中で、地域SNSの日記(外部公開)を通じて復興ボランティアの重要な参考情報となる現状報告をほぼ毎日行い、刻々と変化する現場のニーズを外部に連携することで支援活動を間接的に支えるなど、効果的な役割を担ったとしている 8 日本国内のインターネット利用者(ソーシャルメディア利用ありの者)を対象としたウェブ調査を行い、性別・年代別割り付けを行い合計1,600の回答を得た。アンケート調査の実施の詳細については、付注6参照