(3)地域SNSが地域活性化に結びつく経路 ア 活発な地域SNSの要素  図表1-2-3-9は、地域SNS運営者アンケートの地域SNSのコミュニケーションや利活用を活性化させる方法について、自由回答の結果をまとめたものである。活発な地域SNSの運営者が挙げている活性化方法として、「地元での活動との連携」「ユーザーと一体になった運営」「地域にある社会関係の活用」「他のメディアとの連携」の4つが重要な要素となると考えられる。 図表1-2-3-9 地域SNSのコミュニケーションや利活用を活性化させる方法(自由回答) (出典)総務省・国際大学GLOCOM「地域SNSに関する調査研究」(平成22年) イ 地域SNSが地域活性化に結びつく経路  以上、地域SNSと利用者の状況と効用について概観したが、地域SNSを「対象とする地域の広さ」と「目的(人間関係重視/情報流通重視)」の2軸で分類してみたのが図表1-2-3-10である。 図表1-2-3-10 地域SNSによる地域活性化のイメージ (出典)総務省・国際大学GLOCOM「地域SNSに関する調査研究」(平成22年)  地域SNSは対象とする地域の範囲やその性質、運営主体も様々であり、地域活性化に結びつく経路も一概には言えないが、地域SNSは「新しい公共型」と「新しい地元のメディア型」としてそれぞれ発展していくのではないかと考えられる。「新しい公共型」において求められる人のつながりは「緩やかな結束型」で、「安心・信頼」を重視し、住民活動の創発・活性化など、ソーシャル・キャピタルの醸成に寄与し、前述の「都市」固有の課題解決にも有効であると考えられる。他方「新しい地元のメディア型」で求められる人のつながりは「橋渡し型」で「新しい発見・リソース」を重視し、個人の情報発信と地域マスメディアの橋渡し、地域の新たなミドルメディアの創出などに寄与し、前述の「地方」における課題の解決に有効であると考えられる。  いずれの地域SNSの類型であっても、目指す地域活性化のイメージは、地域SNS参加者のつながりを深めて内部の一体感や安心・信頼を醸成するとともに、新しいつながりを作り、外部のコミュニティや人との連携により新しい発見やリソースを得ることにより、地域にさまざまな中間集団・協力行動が生まれることである。  地域SNSは他のソーシャルメディアよりも顔の見える交流が活発な点が特徴的であり、地域SNSにより新たに生まれたさまざまな中間集団・協力行動が活発化することにより、地域の安心や楽しさや新たな発見が生まれ、「生活利便性向上」「安全・安心の醸成」「各種イベント」「まちづくり」「観光誘致」「顧客開拓・販売促進」などにつながることが期待される。今後、新たに地域SNSを立ち上げる場合、あるいは現在活発に機能していない地域SNSの運営においては、このような地域社会における様々な中間集団・協力行動の活発化につながるような運営に留意して推進していくことが重要であろう。