1 グリーンICTが地域の活性化にどうつながるのか ●住民、自治体、NPO等がICTにより協働・連携し、地域資源を最大限活用する仕組みを創造  日本の総人口は、今後30年間で急速に減少する見込みで、三大都市圏も地方圏も人口が減少する時代が到来する。さらに、少子高齢化も急速に進行するなか、とりわけ地方圏の過疎化が著しく進展する恐れが否定できない(図表2-2-1-1)。 図表2-2-1-1 全国規模で人口が減少する時代の到来と高齢化の加速 「原口ビジョン」により作成 http://www.soumu.go.jp/main_content/000048728.pdf  我が国では、地方圏が都市部の災害防止、水源の涵養、安心・安全な食料の供給、森林による二酸化炭素の吸収など、特に環境面において都市部を支えている構造がある。そのため地方圏が衰退し、その環境の破壊につながると、都市部ひいては我が国全体の環境にも被害を及ぼすおそれが強い。このような事態を避けるためには、地方圏がそれぞれの地域資源(豊かな自然環境、再生可能なクリーンエネルギー、安全で豊富な食料、歴史文化資産、志のある資金)を最大限活用する仕組を住民と自治体、NPO等の協働・連携により創り上げ、「絆」の再生を図っていく必要がある。  クリーンエネルギーの観点から、このような地域の活性化と創富を実現している事例としては、岩手県葛巻町の事例1があげられる。葛巻町は酪農と林業が基幹産業である特色を活かし、太陽光、風力、木質バイオマス、畜産バイオマス発電により、100%をはるかに越えるエネルギー自給率(風力発電だけで約3,000世帯の町において約1万7,000世帯分の電力を供給)を実現すると共に、付加価値と雇用も創出2するといった地域の活性化にも成功しつつある。グリーンICTにおいても、このような地域活性化に結びつける取組が期待される。 1 環境goo「グローバルコラム」(http://eco.goo.ne.jp/business/csr/global/clm10.html)を主に参照 2 くずまき高原牧場、ワイン工場、ふれあい宿舎グリーンテージの3社で売上高17億2,980万円、1億円程度の純利益を上げ、147人の雇用を確保(うち70人が都会からの若い帰郷者)しているとのこと