第3章 ICTによる経済成長と競争力の強化  本格的な少子高齢化社会を迎え、労働力人口の減少が進展している我が国では、これまでの産業構造や従来の考え方を前提とした「成長」では立ちゆかなくなり、新しい思考で持続的な成長を考えることが国家にとっても、企業にとってもそして個人にとっても不可欠となっている。このような局面において、「ICTには経済成長や競争力強化をけん引するパワーがある」といった言説は、各種調査報告書や研究においても証明されつつあり1、先進国のみならず新興国はICTを国家戦略の主要な柱として位置付け、成長の原動力としているところである。本章では、まず我が国のICTによる経済成長への道筋を検証するとともに、ICTが支えるイノベーションとグローバル展開による国際競争力確保の道筋について検証する。 1 世界銀行のレポート“Information and Communications Report 2009:Extending Reach and Increasing Impact(http://issuu.com/world.bank.publications/docs/9780821376058)”では「ICTの普及は公共及び民間セクターにおける効率化を通じて、経済取引の活性化、取引コストの削減、生産性上昇を促進」との記述がある