(2)我が国の情報通信資本の現状 ア 情報化投資の日米比較 ●2008年時点の日米比較において、フロー及びストックの両面で2倍以上の差  ICT先進国である米国と日本との情報化投資を比較してみよう。図表3-1-3-2は、情報化投資及び情報通信資本ストックの伸びについて、1995年から2008年までの経年比較したものである。これを見ると、1997年以降、日本は米国との差が開く一方となっており、2008年時点においては、フロー及びストックの両面で2倍以上の差が開いてしまっている 図表3-1-3-2 日米の情報化投資及び情報通信資本ストックの推移(左図:投資、右図:ストック) (出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成22年) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03.html イ 情報通信資本の国際比較 (ア)情報通信資本の推移(全産業) ●1995年以降における我が国の情報通信資本の成長は、10か国の中でフランスなどと並び最低水準  図表3-1-3-3はEU KLEMSデータベース17に基づき、我が国と韓国、米国、英国、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オランダ、ドイツ、フランスの10か国における1995年以降の全産業の情報通信資本18の推移を示したものである。これによると、1995年以降における我が国の情報通信資本の成長は、10か国の中でフランスなどと並び最低水準となっている。 図表3-1-3-3 情報通信資本の推移(全産業・国際比較) (出典)総務省「産業の成長における情報通信資本の寄与に関する国際比較分析に関する調査」(平成22年) (EU KLEMSデータベース(Release 2008, Additional files)により作成)  2005年の我が国の情報通信資本は、1995年と比べて2.3倍ほどに成長している。しかし、同期間における英国は約4.5倍、米国は約4倍、ドイツは約3倍に成長している。したがって、我が国の情報通信資本の成長は、英国、米国の半分程度である。 (イ)情報通信資本の推移(産業別) ●「小売」「対個人サービス」「農林水産業」「医療・福祉」「教育」等における情報通信資本の推移は、各国中最低水準  産業別の情報通信資本の推移を見たのが図表3-1-3-4である。全般的に我が国の情報通信資本の推移は低調であるが、特に「小売」「対個人サービス(飲食・宿泊・自営業等)」「農林水産業」「医療・福祉」「教育」等の分野における資本の推移は、各国中最低となっている。 図表3-1-3-4 産業別の情報通信資本の推移(国際比較) (出典)総務省「産業の成長における情報通信資本の寄与に関する国際比較分析に関する調査」(平成22年) (EU KLEMSデータベース(Release 2008, Additional files)により作成) (ウ)情報通信資本シェア(全産業) ●2005年時点での我が国の情報通信資本シェアは、10か国の中ではドイツ、フランスなどと並び最低水準  図表3-1-3-5は全産業でみた場合の情報通信資本シェアの推移を示している。これによると、1995年以降における我が国の同資本シェアは、10%ほどで横ばいとなっている。我が国は、ドイツと似通った推移をしており、2005年時点での我が国の情報通信資本シェアは、10か国の中ではドイツ、フランスなどと並び最低水準である。 図表3-1-3-5 情報通信資本シェアの推移(国際比較) (出典)総務省「産業の成長における情報通信資本の寄与に関する国際比較分析に関する調査」(平成22年) (EU KLEMSデータベース(Release 2008, Additional files)により作成) (エ)情報通信資本シェア(産業別) ●情報通信機器を除く製造業、卸売業、対個人サービス業を始めとする過半の産業では、10か国中下位  情報通信資本シェアを産業別にみると、我が国は情報通信機器製造や機器賃貸・その他事業などいくつかの産業では、10か国の中で中位にある。しかしながら、情報通信機器を除く製造業、卸売業、対個人サービス業を始めとする過半の産業では、下位になっている(図表3-1-3-6)。 図表3-1-3-6 産業別情報通信資本シェア(国際比較) (出典)総務省「産業の成長における情報通信資本の寄与に関する国際比較分析に関する調査」(平成22年) (EU KLEMSデータベース(Release 2008, Additional files)により作成) 17 欧州連合(EU)の加盟国を中心として日本、韓国、米国なども加えた20か国以上におけるK(資本)、L(労働)、E(エネルギー)、M(原材料)、S(サービス投入)の産業別データが、各国から収集、作成されたデータベースである 18 EU KLEMSにおける情報通信資本には、計算機器、通信機器、ソフトウェアの3種類が含まれる