(2)分析の観点 ●創業の各段階で、ICTを活用してビジネスをどのように拡大したかを創業者へのインタビューに基づき分析  我が国と起業活動が盛んな米国10との差を比較すると、「人材・組織」「戦略」「ファイナンス・資本市場」において次のような固有の課題があると指摘11されている。 ○人材・組織:日本では、米国に比べて起業家を育成する教育・社会環境が整っておらず、起業そのものが高リスクで、敬遠される傾向にある。 ○戦略:日本のベンチャーは、比較的短期の視点で経営を行っており、米国のベンチャーは、グローバル市場で急成長させることを念頭に置いて戦略を立てている。 ○ファイナンス・資本市場:日本のベンチャーへの投資額の規模は、大規模な資本を取り入れやすい米国のベンチャーに比べると小さい。  また、British Private Equity & Venture Capital Associationはベンチャービジネスにおける成長段階を、“seed”、“Start-up”、“Other early stage”、“Expansion”、“MBO”の5つに分類(図表3-2-2-3)している。 図表3-2-2-3 ベンチャービジネスの成長段階 総務省「我が国ベンチャー企業における課題克服のためのICT活用方策に関する調査研究」により作成  これらを踏まえ、第1章第3節で紹介した76世代付近の若者が創業したベンチャー企業が、seedからExpansionまでの創業ステージの各段階で、「人・組織」「戦略」「ファイナンス・資本市場」の3分野でICTをどのように活用して、直面した課題を解決したり、業績向上や業務効率化を達成したか等について、各社の創業者へのインタビュー12に基づいた事例をあげつつ図表3-2-2-4のとおり分析していく。 図表3-2-2-4 若者のベンチャービジネス事例の分析フレーム 総務省「我が国ベンチャー企業における課題克服のためのICT活用方策に関する調査研究」により作成 10 図表3-2-2-1の起業家の割合(TEA)でも平均(6.3)を超える値(8.0)を示している 11 総務省「ICTベンチャー・グローバル・マネジメント・プログラム」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu02_000004.html)による 12 平成22(2010)年2〜3月に実施