2 国内的なデジタル・ディバイドの解消に向けて (1)国内的なデジタル・ディバイドの現状 ア 地域間デジタル・ディバイドの状況 〜ブロードバンドインフラ環境の普及〜 ●「デジタル・ディバイド解消戦略」によるブロードバンド・ゼロ地域の解消へ  総務省では、平成22年度末を達成年限としたブロードバンド・ゼロ地域の解消や、携帯電話不感地帯の解消を実現し、デジタル・ディバイドを解消するための具体的施策について検討を行うため、平成19年10月から「デジタル・ディバイド解消戦略会議」を開催し、平成20年6月に最終報告書を取りまとめ、公表した。また、この報告書を踏まえ、デジタル・ディバイド解消に関するマスタープランとして、「デジタル・ディバイド解消戦略」を取りまとめた。この「デジタル・ディバイド解消戦略」に基づく取組により、ブロードバンド・ゼロ地域については、平成22年度末でほぼ解消した。  なお、平成23年3月11日に発生した東日本大震災において、第1部でも指摘しているとおり、東北地方から関東地方の太平洋沿岸を中心に、通信インフラについても甚大な被害が発生した。今後、インフラ環境の「利用機会・利用可能性」の差による新たなデジタル・ディバイドを発生させないためにも、これら地域におけるブロードバンドインフラの早急な復旧・整備が必要な状況にある。 イ 個人間・集団間デジタル・ディバイドの状況 〜インターネットの利活用状況〜 ●インターネットの利用状況  国民生活のインフラとなりつつあるインターネットの利用状況は、平成22年末で78.2%(6歳以上人口に占める割合)となっている。インターネットが生活のインフラとなりつつある状況を考慮すると、インターネットの普及が進んでいない層(デジタル・ディバイドが生じているセグメント)は、インターネットにアクセスできないことで生活に必要なサービスにアクセスできず、負の連鎖を生むことも懸念される。  年代別にみると、近年利用率が急増しているものの、60歳以上での利用が13〜59歳の層と比較すると低い。特に、60歳以上では、年齢層が上がるにつれて利用率が下がる傾向がみられる(図表2-2-2-1 上図)。また、都市区分別のインターネット利用率は、都市規模が小さくなるにつれて低くなっている(図表2-2-2-1 中図)。さらに、世帯年収別にみると、年収が低いほどインターネットの利用率が低く、特に年収200万円未満の世帯では、利用率は63.1%となっている(図表2-2-2-1 下図)。 図表2-2-2-1 属性別インターネット利用状況 (出典)総務省「平成22年通信利用動向調査」 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html ●インターネットの利用格差は高齢者、低所得世帯が大きい  性別、年齢、年収、地方、都市区分の各要因が、インターネット利用/未利用に与える影響の大きさを比較するために分析を行った2(図表2-2-2-2)。平成22年末においては、インターネットの利用/未利用に最も大きな影響を及ぼしている要因は、年齢である。特に「60歳以上」(影響度3-1.31)の属性であり、高齢になるほど、インターネットを利用していない傾向にある。また、次に大きな影響を及ぼしているのは年収である。特に、「世帯年収が200万円未満」(影響度-0.30)となっており、所得が低いほどインターネットを利用していない傾向にある。 図表2-2-2-2 インターネットの利用格差の比較(平成21年末及び22年末) (出典)総務省「平成22年通信利用動向調査」 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html 2 インターネット利用/未利用について、要因別の属性を同一基準で分析するため、インターネット利用・未利用を被説明(外的基準)変数とし、「性別」、「年齢別」、「世帯年収別」、「地方別」及び「都市区分別」の5要因を説明変数として、数量化II類で解析した 3 ここでは数量化II類から得られるカテゴリースコアを、各カテゴリーのインターネット利用/未利用に対する影響度と呼んでいる。その値がプラスに大きいほど、インターネットを利用する方向に、マイナスに大きいほど、インターネットを利用しない方向に影響が強いことを意味する