(3)地域課題×ICT利活用 ●地域のICT利活用事業の実施状況は、地域課題の存在以外の理由に左右されている可能性がある  地域課題の存在とICT利活用の実施状況の内容について、まず、福祉分野を取り上げて分析を行った。子どもや高齢者が多いほど、本来、子育てや高齢者支援等のICT利活用事業を実施している自治体は多いと期待される。しかし、現実は逆であり、子ども・高齢者の人口に占める割合が高いほど、福祉のICT利活用サービスを実施している自治体の割合は低いことがわかった(図表2-3-4-8)。むしろ、自治体の財政力、都市規模等、他の事由に影響されていることが示唆される(図表2-3-4-9)。 図表2-3-4-8 15歳未満・65歳以上人口の割合と、福祉分野のICT利活用事業実施比率 (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年) 図表2-3-4-9 福祉分野のICT利活用事業実施比率 (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)  次に、農林水産業分野における地域課題の存在とICT利活用状況について見てみた。第一次産業就業者の割合が多い地域ほど、本来農林水産業振興関連のICT利活用事業を実施している自治体は多いと期待される。しかし、現実は、第一次産業就業者の割合と、何らかの農林水産業振興に関するICT利活用事業を実施している自治体の間に関連性はみられず、第一次産業就業者の割合が最も高い自治体がICT利活用事業の実施率が最も低い(図表2-3-4-10)。福祉分野と同様の傾向がみられる(図表2-3-4-11)。 図表2-3-4-10 第一次産業就業者の割合と農林水産業分野のICT利活用事業実施比率 (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年) 図表2-3-4-11 農林水産業分野のICT利活用事業実施比率 (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)