第3節 「共生型ネット社会」への期待 1 ソーシャルメディアの国民生活への浸透等によりもたらされる変化  前節でみたように、ソーシャルメディアには様々な効用が認められるが、その利用が進み、国民生活に浸透した場合、どのような社会を展望できるだろうか。  まず、ソーシャルメディアをはじめとするICTの利活用が人と人とのつながり、絆の形成、個人の不安の解消、地域コミュニティの問題の解決等にどのような影響を与えるかについて、ソーシャルメディアに着目し、分析を行った。 ●ソーシャルメディアの利用を若年層が牽引。利用者は多様な目的のためにソーシャルメディアを使い分け  その結果、ソーシャルメディアの利用者の約6割が複数のソーシャルメディアを利用していた。また、若年層ほど複数のソーシャルメディアを利用し、SNS、Twitter、ミニブログの利用率が高く、モバイル端末でのソーシャルメディア利用が一般化しており、ソーシャルメディアの利用を牽引していた。同時に、ブログは世代を問わず利用され、地域SNSは高齢層に多く利用されるなど、世代による利用の特徴が明らかになった。  また、利用者は、多様な目的のためにソーシャルメディアを使い分け、既存の知人とのコミュニケーションのためにSNSを、知りたいことについて情報を得るためにTwitterを、同じ悩みごとや相談ごとを持つ人を探すためにブログを利用しているとの結果が得られた。 ●ソーシャルメディアは、人と人との協働を媒介し、諸問題を解決。また、身近な不安や問題を解決し、人と人とが支え合うためのツールとしても活用  また、ソーシャルメディアは、人と人との協働を媒介し、諸問題の解決という形で実社会にプラスの影響を与えていた。  さらに、ソーシャルメディアが、人と人との絆を深め、現実社会の身近な不安や問題を解決し、人と人とが支え合うためのツールとして活用されていた。 ●今後、リアルサイバーの連携がさらに進行、利用者が主体となったICT利活用や、ICTが媒介するモノ等のシェアの動きも進展  ここで、今後の通信放送ネットワーク環境を展望すると、第1節で述べたとおり、現在、ICTが自然に社会に溶け込み、人と人、人とモノ、モノとモノをN対Nで媒介するユビキタス環境が整備されてきているが、今後、さらに、M2M通信が普及し、あらゆるモノがネットに接続されることにより、リアル空間とサイバー空間の連携が強化される進化したユビキタスネットワーク社会が実現すると考えられる。また、1対Nを基本とする放送網、1対1を基本とする通信網に加えて、N対Nを基本とするソーシャルメディアが有機的・相互補完的に組み合わされ、各ネットワークやメディアの特性を活かしつつ、各利用者のニーズに応じて自由に連携可能な環境になっていくと考えられる。  また、今後のICT利活用の変化を展望すると、集合知を活用した商品・サービス開発等、供給者側ではなく利用者が主体となったICTの利活用が急速に進むと考えられる。さらに、昨今、モノ、サービス、情報をシェアする動きがあるが、ICTは、その媒介、マッチング機能で、その動きを促進してゆくだろう1。 1 モノのシェアを基盤としたビジネスは昔から存在するが、ICTを活用した代表的なものとして、ジップカー(Zipcar カーシェアリング会社)、スレッドアップ(thred UP 子供服の交換サービス仲介会社)、エッツィ(Etsy 手作りのものやヴィンテージもののシェアを仲介する会社)等が挙げられる。所有から利用との流れでは、クラウドサービスも挙げられよう