(2)情報化投資による経済成長と労働生産性向上 ●情報通信資本ストックの蓄積が、経済成長と労働生産性上昇の双方に寄与 ア 情報通信資本ストックの深化と経済成長  我が国の経済成長率に対する情報通信資本ストックの寄与をみると、平成2年から7年の間には、経済成長率1.41%に対して寄与度0.35%、平成7年から12年の間には、同0.96%に対して寄与度0.89%、平成12年から17年の間には、同1.30%に対して寄与度0.42%、平成17年から21年の間には、同-0.82%に対して寄与度0.38%と、一貫してプラスに寄与している(図表4-2-2-7)。 図表4-2-2-7 実質GDP成長率に対する情報通信資本ストックの寄与 (出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成23年) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03.html イ  情報通信資本ストックと労働生産性向上  我が国の労働生産性成長に対する情報通信資本ストックの寄与について見てみると、平成17年から21年における寄与度は、一般資本ストックが1.05%、情報通信資本ストックが0.12%、TFP成長率が-2.86%となっている(図表4-2-2-8)。 図表4-2-2-8 労働生産性成長に対する情報通信資本ストックの寄与 (出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成23年) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03.html  平成12年から21年の間について、製造業とサービス産業における労働生産性成長率に対する情報通信資本ストックの寄与をみると、製造業では、労働生産性成長率3.09%に対して寄与度は0.15%、サービス産業では同-0.33%に対して寄与度は0.16%となっている(図表4-2-2-9)。 図表4-2-2-9 産業別の労働生産性成長に対する情報通信資本ストックの寄与 (出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成23年) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03.html ウ 情報通信産業の経済波及効果 ●情報通信産業の生産活動が我が国の産業全体に及ぼす経済波及効果は、付加価値誘発額で全産業最大、雇用誘発数で小売業に次ぐ規模となっている  情報通信産業の全産業に与える経済波及効果を、付加価値誘発額と雇用誘発数について、他産業と比較する。  最終需要による経済波及効果について、実質最終需要62.5 兆円による平成21 年の付加価値誘発額は、他産業よりも比較的高い49.7 兆円となり、平成7 年以降一貫した増加傾向から、減少に転じた(図表4-2-2-10)。同様に平成21 年の雇用誘発数をみると、321万人となり、こちらは対個人サービス(飲食・宿泊・自営業等)、公共サービス、小売、建設といった産業に次ぐ規模となっている(図表4-2-2-10)。 図表4-2-2-10 主な産業部門の最終需要による経済波及効果(付加価値誘発額、雇用誘発数)の推移 (出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成23年) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03.html  「各産業の生産活動」に着目して経済波及効果についてみると7、情報通信産業の付加価値誘発額は平成21年で115.9 兆円と我が国の産業の中でも最大となっている(図表4-2-2-11)。同様に情報通信産業の生産活動全体による平成21 年の雇用誘発数をみると、711万人と小売に次ぐ規模となっている(図表4-2-2-11)。 図表4-2-2-11 主な産業部門の生産活動による経済波及効果(付加価値誘発額、雇用誘発数)の推移 (出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成23年) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03.html 7 「最終需要による経済波及効果」は、最終需要となる財・サービスに着目した分析で当該部門の最終需要が国内産業にもたらす経済波及効果をみるのに対し、「生産活動の経済波及効果」は産業部門に着目し、その生産活動が国内産業にもたらす経済波及効果をみるもの