(3)中国の情報通信政策の動向 ●国民経済・社会発展第12次5か年計画綱要(2011〜2015年)を策定 ア 「国民経済・社会発展第12次5か年計画綱要」の採択  2011年3月に開催された全国人民代表者会議において、「国民経済・社会発展第12次5か年計画綱要」(以下「第12次5か年計画」)が明らかになった。16編から構成され、2011〜2015年の国家の運営方針を示す同計画においては、推進する重点産業分野として新世代移動通信、次世代インターネット、三網融合、物聯網、クラウドコンピューティングを含む新世代情報技術産業が列記された。また、国家政策として既に推進してきた情報通信分野の重要政策としても、次世代情報通信インフラの構築、三網融合、物聯網の推進などについて記述され、戦略的新興産業の付加価値のGDPに占める割合を8%前後に到達させるとした。なお、同計画を踏まえ、工業・情報化部は、情報通信産業に関する第12次5か年計画の策定作業を進めている。 イ 次世代情報通信インフラの構築  2010年3月、工業・情報化部等7関係政府部門は、光ファイバ網整備の推進目標として3年間に1,500億元(約1兆8,600億円)以上を投じ、新規加入者5,000万の獲得を目指す等の方針を発表した。第12次5か年計画では、超高速、大容量かつインテリジェントな国家基幹伝送ネットワークの構築、ブロードバンド無線都市の構築の推進、都市のFTTHの推進、農村地区でのブロードバンドネットワーク建設の加速等により、ブロードバンド普及率及びアクセス帯域幅を全面的に向上させるとしている。 ウ 三網融合  電気通信網、ラジオ・テレビ放送網及びインターネットを融合させる「三網融合」については、2010年1月に開催された国務院常務会議において、その取組を加速推進することが決定され、同年から2012年に電気通信とラジオ・テレビ放送の相互参入のテストを行い、融合が円滑に展開できる政策及び体制面の検討をすること、2013 年から2015 年にはその結果を総括し、融合発展を全面的に実現することを内容とする目標が策定された。また、2010年7月には、北京、上海、深セン、大連等12都市が、テスト実施のためのモデル都市として発表をされた。 エ 物聯網  2009年に温家宝総理が「物聯網(Internet of Things;モノのインターネット)」のコンセプトを示し関連コア技術の開発等の指示がされていたが、2010年10月に発表された「戦略的新興産業の育成・発展の加速に関する国務院の決定」において、物聯網は次世代情報技術産業の一分野として盛り込まれている。  政府による政策誘導の下、北京、天津、武漢、上海等各地に物聯網に関する産業連盟が次々と設立され、物聯網の実用化の早期実現に向けた動きが活発化している。また、技術の独自開発や規格化に向け、中国科学院・上海マイクロシステム情報通信技術研究所、中国移動など60の研究開発機構・企業がメンバーとなる標準化作業グループが設立されている。