(4)日本のICT産業の国際競争力強化に向けて  我が国ICT産業の国際競争力は、ハードを中心に低下傾向にあることがみて取れた。ICT製造業について、北米企業は、EMSにより生産拠点を地域外に移行させ、国際分業による効率的な生産を実現しつつもブランドシェアを維持している傾向にあるのに対し、韓国企業は、自社内での大量製造力を生かしブランドシェアに結びつけているというように、対照的な面も見られた。しかし、両者に共通していたのは、最初からグローバル市場をにらみ、自社の有する経営資源の徹底した選択と集中を図り、自社の優位性を最大化している点にあると考えられる。  ICTベンダーや通信事業者についても、我が国企業は海外展開が必ずしも進んでいない。一方、諸外国の通信事業者やICTベンダーは、伸長しつつある新興国市場を中心として、積極的な進出を図っている状況にある。  人口減少社会に突入し国内ICT市場の急激な拡大が期待しにくくなっている我が国の現状において、企業成長を考える際に海外展開は重要な選択肢の一つであろう。その際には、我が国の強み生かした形での取組が重要であるのは言うまでもないが、同時に最初からグローバル市場を見据えた経営戦略も求められよう。