(2)調査分析の枠組  効果項目を検討する領域の全体像として、医療・介護・予防の3分野からなる医療・ヘルスケア領域を想定し、医療・ヘルスケア領域の相関図を整理し、医療分野を構成する主体のうち、個人、医療機関、保険者を中心として、ICT化によって発現する効果項目を想定した(図表1-4-8-2)。また、医療分野におけるICTの利活用がもたらす効果は多様な関係者に及ぶことが想定されることから、医療分野を構成する主体を中心に、ICTによって発現する効果項目を想定した(図表1-4-8-3)。 図表1-4-8-2 今回調査の対象とした領域 (出典)総務省「医療分野のICT化の社会経済効果に関する調査研究」(平成24年) 図表1-4-8-3 医療・ヘルスケア領域の関係者とICT化による社会経済効果に係る項目 (出典)総務省「医療分野のICT化の社会経済効果に関する調査研究」(平成24年)  医療情報化の効果は、患者を受益者として見た時、対象者数を地理的・時間的に拡大し、疾病を早期に発見し、医療・健康サービスの利用継続(脱落抑止)を促す点などがあると考えられる。また受益者の視点を医療機関や保険者に移すと、情報の共有による医療の質の向上や安全性の向上、業務効率の改善などが主な効果となると考えられる。これらは公衆衛生の向上など社会全体にも好影響をもたらす。このような観点から、本調査における医療情報化の効果測定指標として、特に以下の3つに着目した。  I:医療・健康サービスによる健康改善とその結果としての医療費適正化効果  II:医療機関や保険者等の経営効率改善(収入増加/費用削減)効果  III:公衆衛生の向上や機会損失の回避等による社会的便益の向上効果