(3)サイバー空間の在り方に関する諸外国の取組状況  このような新興・途上国のネット規制や政府管理強化の動きに対して、2011年(平成23年)に入って、欧米諸国は、首脳や閣僚が主導して情報の自由な流通やインターネットのオープン性等の基本理念を表明している。  米国のクリントン国務長官は2010年(平成22年)1月を皮切りに、インターネット上における人権保護やインターネットへのアクセスの自由を守る必要性に関するスピーチを行っているが、2011年(平成23年)2月からは、インターネットがアラブの春において果たした役割を強調しつつ、その主張を強めている。  2011年(平成23年)5月には米大統領府が「サイバー空間の国際戦略」を公表した。この戦略は、@開放的な、A相互運用可能で、B安全な、C信頼性の高いサイバー空間を将来にわたり維持発展させることを目的として、幅広い課題を認識した上で包括的に国際連携に向けた方針を示した米国初の戦略である。@基本的自由、Aプライバシー、B情報の自由な流通の3つを中核的な原則とし、経済やネットワークの保護、インターネットの自由等の領域について優先すべき政策課題として取組を実施することとした。  英国では2011年(平成23年)2月、ヘーグ外相がミュンヘン安全保障会議において、「全ての人がサイバー空間にアクセスする能力を持つ必要性」や「サイバー空間のイノベーションのオープン性と思想、情報、表現の自由な流通の保障」などを含むサイバー空間における「7つの原則」を提唱した。さらに英国政府は、同年11月に「英国サイバーセキュリティ戦略」を公表した。この戦略においては、2015年(平成27年)をターゲットとした英国におけるサイバーセキュリティのビジョンを掲げるとともに、当該ビジョンを達成するための目標、官民等のパートナーシップでの取組並びにセキュリティと自由及びプライバシーの両立等の基本原則、個人・民間セクター・政府それぞれの役割及び責任が言及されている。