(1)フレームワーク ア 調査の対象範囲 2011年(平成23年)以降に各種の文献等でビッグデータの活用事例として紹介されたものを中心に情報収集を行った(よって、ビッグデータ活用の開始が2011年(平成23年)以前に遡る事例も存在する。)。そのため、業種・分野や企業の規模、使用する用途、使用しているデータの種類等の条件により、情報収集の範囲を制限することは行っていない。よって、「2.情報流通・蓄積量の計測」では、計測対象とする業種やデータを限定していたのに対し、本調査ではすべての業種、データを調査の対象としている(図表1-3-3-1参照。ただし、結果的に事例収集できなかった業種やデータは存在する)。 図表1-3-3-1 本調査の対象範囲 (出典)総務省「ICT分野の革新が我が国社会経済システムに及ぼすインパクトに係る調査研究」(平成25年) 実際に活用されるデータについても、従来は業務に関連した構造化データ(図表の左上方向)が中心であったが、業務システム以外にも様々なデータの生成源が登場したり、非構造化データについても分析方法が確立したりするなど、従来と比べて解析の範囲が広がっている。よって、本調査では、ビッグデータの実際の利活用について可能な限り広く把握し全体像の推定に近づけたいと考えたため、「2.情報流通・蓄積量の計測」と同様、構造化データ・非構造化データの別を問わず事例の収集を行っている。 また、ビッグデータの特質である多量性、多種性、リアルタイム性のいずれかを活用しているものであれば、事例としての把握対象とした。収集したこれらの事例から、@活用しているデータの内容、A分析方法、B活用している業務及びC得られている定量的、定性的効果の4項目を抽出した。 イ 本調査における分析手法 分析に当たっては、事例の「業種(分野)」「業態」および「業務」に着目した。すなわち、収集事例におけるビッグデータ活用がどの業種(分野)ならびに業態のどの業務で行われているかということを明確にした上で事例分析を行っている(図表1-3-3-2)。 図表1-3-3-2 事例分析の3つの視点 (出典)総務省「ICT分野の革新が我が国社会経済システムに及ぼすインパクトに係る調査研究」(平成25年) 収集した情報を基に、まず、当該業務においてデータの活用による効果がどのようなメカニズムで発現しているか(効果発現メカニズム)を明らかにした。 効果発現メカニズムは、事例の一連の流れを業務の単位で分解し、@データの取得、A分析、B効果の発現がそれぞれどの業務でなされているかを整理した。したがって、「どの業務で取得されたデータ」が「どの業務で分析され」た結果、「どの業務に効果をもたらしたか」ということを分析している。 続いて、事例から得られた定量的、定性的効果に基づき、当該業種(分野)におけるビッグデータ活用の潜在的な経済効果を推計した。事例から得られた定量的効果を推計パラメータとして、同様の活用が行われていることが想定される業務、業態に対して拡大推計を行っている。その際、必要に応じて当該企業等へのヒアリングを行い、ポテンシャル推計に必要な情報の追加収集を行った。