(2)健康医療分野におけるICT利活用の推進 ア 医療情報連携ネットワークの意義 医療機関等の保有する患者・住民の医療・健康情報を、クラウド技術を活用して、安全かつ円滑に記録・蓄積・閲覧することを可能とする医療情報連携ネットワークは、患者・医療機関等の負担を軽減するとともに、地域医療の安定的供給、医療の質の向上、さらには医療費の適正化にも寄与するものである。(図表5-5-1-2) 図表5-5-1-2 医療情報連携ネットワークの概要 イ 「健康情報活用基盤構築事業」における取組事例 総務省は、厚生労働省及び経済産業省と連携し、平成23年度及び24年度に「健康情報活用基盤構築事業」において、広域共同利用型の医療情報連携ネットワークの確立を目的として、処方情報の電子化・医薬連携、医療・介護連携、共通診察券の活用、在宅医療・介護連携、災害に強い医療情報連携ネットワークについての実証事業を実施した 2 。 ウ 東北地域医療情報連携基盤構築事業(「東北メディカル・メガバンク計画」)における取組事例 東日本大震災においては、津波により、病院に保管されていた紙カルテが消失し、患者の病歴や過去の診療情報が失われ、被災地域における適切な医療の提供が困難になったといった事例が報告され、医療情報連携ネットワークの重要性が注目された。これを受けて総務省では、厚生労働省及び文部科学省との連携の下、「東北メディカル・メガバンク計画」 3 の実現に向け、平成23年度より、被災地域の医療圏において、医療情報連携ネットワークの構築を財政的に支援する措置を講じている。 エ 遠隔医療の推進 地域医療の充実に資する遠隔医療技術の活用方法及び推進方策について検討するため、平成20年3月から、総務大臣及び厚生労働大臣の共同懇談会である「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」を開催している。平成20年7月に公表された「中間取りまとめ」において、遠隔医療の位置づけの明確化、診療報酬の適切な活用が提言され、厚生労働省と連携しながらエビデンスの収集・蓄積を行ってきたところである。また、「規制・制度改革に係る対処方針」(平成22年6月18日閣議決定)を受け、厚生労働省において、遠隔医療の実施可能範囲等を明確化するため、平成23年3月に、遠隔医療関連通知を改正した。今後も、遠隔医療の普及・推進に向けた取組を行っていく。 2 実証地域:香川県高松市を中心とする地域、広島県尾道市を中心とする地域、島根県出雲市を中心とする地域、宮城県石巻市を中心とする地域、宮城県大崎市を中心とする地域 3 被災地の住民の健康・診療・ゲノム等の情報を生体試料と関連させたバイオバンクを形成し、創薬研究や個別化医療の基盤を形成するとともに、地域医療機関等を結ぶ情報通信システム・ネットワークを整備することにより、東北地域の医療復興に併せて、次世代医療体制を構築する計画