(3) 中国の情報通信政策の動向 ア TD-LTEサービスの商用化 中国政府が推進してきたTD-LTE方式の商用サービスが通信事業者三社によって開始された。このうち、中国移動は既に大規模のトライアルサービスを行っていたため、2013年12月、他社に先駆けて商用サービスを正式に開始し、2014年内に300以上の都市で5,000万を超えるユーザーの獲得を目標に掲げている。 中国電信は、2014年2月よりサービスを開始した。当面は100ほどの主要都市にてサービス提供するとしており、将来的には、FDD-LTEと合わせて、2方式による4Gのサービスを提供する方針である。 また、中国聯通も、3月より25都市でのサービス提供を開始し、年内に300都市に拡大していく計画である。同社は、現在運営中のW-CDMA方式を最大限に活かし、今後FDD-LTEへの移行を優先するために、大規模なTD-LTE網を構築しないと明言している。そのため、2014年に行われる800億元規模の投資のほとんどは3G網の改善及びFDD-LTE基地局の構築に用いられるとされる。 イ 情報関連消費の促進 中国経済は、2008年のリーマン・ショック以降、外需依存から内需促進へと方向転換した。その中で新たな成長エンジンとして特に注目されるのは国内市場における情報関連の消費である。 情報関連消費では、スマートフォンといったICT商品に対する需要、及び電子商取引(EC)に代表されるようなICTの利活用による需要の二大部分が含まれる。2013年以降、2013年8月に国務院によって公表された「情報関連消費の促進による内需拡大に関する若干の意見」をはじめとして、これらの需要喚起に関連した一連の政策が展開されている。 政策目標として、まず、年間の情報関連消費規模を、2015年までに、20%以上の成長率で3兆2,000億元に引き上げ、関連業界への波及効果が1兆2,000億元とすることを目指す中、新型ネットサービスに基づく消費規模の伸びは速く、2兆4,000億元に達することが見込まれている。また、電子商取引の取引規模について、18兆元(このうち小売りは3兆元以上)を目指すとしている。 ウ IPv6の推進状況 IPv6に基づく次世代インターネットの発展促進に関連して、2012年3月に国家発展改革委員会をはじめとする七つの中央政府部門が連名で第12次5か年規画期間(2011〜2015年)における発展目標を公表した。2014年から2015年まではIPv6の商用化普及促進段階と位置付けられており、東部発達地域のMAN(メトロポリタン・エリア・ネットワーク)の全て及び中西部未発達地域のMANの50%がIPv6に対応でき、IPv4及びIPv6業務の相互接続が実現し、全体のインターネット普及率が45%に、またIPv6対応のブロードバンドユーザーが2,500万超に達することとされている。 エ 上海自由貿易試験区における外資参入の規制緩和 より優遇的な措置を試みることで、サービス分野の開放促進につながる新しい制度や運営モデルを模索するため、2013年9月に上海自由貿易試験区が設立された。通信関連では、付加価値通信サービスの経営及びゲーム機器の製造・販売に係る緩和措置が試みられており、2014年1月に工業・情報化部及び上海市人民政府によって発表された「中国(上海)自由貿易試験区での付加価値通信サービスの対外開放をさらに進める意見」では、複数のサービスにおける外資参入の緩和措置が明記された。